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〜烈戦記〜
第五話 〜討伐令〜
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ならば…。

『洋班様』
『下っ端は黙ってろ!』
『この地にはまだ賊がございます』
『…あ?』
『凱雲!お前何を!』
『豪統!貴様は黙ってろ!』
『…っ!』

…豪統様、申し訳ございません。

『詳しく話せ』
『はい』
『…』

私はできるだけ豪統様と目が合わないように洋班に話し始める。
きっととても悔しそうに、そして怒りに満ちた目でこちらを睨んでおられるのだろう。

『陵陽関より西に位置する荀山という山の麓を根城にする賊がございます。規模はだいたい50〜100といったところでしょうか』
『なんだ?そんなちっぽけな賊もうち取れないのか?』
『…申し訳ございません』
『はははっ!安心しろ豪統!俺がお前の尻拭いをしてやるよ!』
『ありがとうございます…』

もう少しの辛抱を…。

『洋班様、討伐軍はいかがいたしますか?この城には動かせる兵が500程いますが』
『ん?なんだお前。さっきとは違い随分と主を差し置いて積極的じゃないか?』
『いえ、ただこの関の兵を預かる身なので…』
『ふん…まぁいい。だが兵士はいらん。』
『…兵は使われないのですか?』
『いや、兵士は別に用意してるからな』
『と、言いますと?』
『もう少ししたら2000の兵が徐城より送られてくる。そいつらを俺が指揮する』

つまりこいつはその兵士達より先行してこの関へと来たわけか。

『遅くても明日の昼には着くだろう。兵が到着次第準備に取り掛かる。兵を受け入れる準備をしておけ。』

そういうと洋班は席を立ち、出口へ向かおうとこちらえ歩いてくる。
私達二人は出口への道を空けて礼をとる。
横に来た豪帯様を横目で見ると目には涙を溜めていた。
無理もない。
目の前で尊敬する親が嫌いな人間に対して好き勝手言われ頭を下げている場面を見せられたのだ。
そしてそれを自分ではどうする事もできない。
…さぞ悔しい事でしょう。
もう少しの辛抱です。

だが、洋班が私達二人を過ぎようとしたところで立ち止まる。
それを感じとった豪帯様は身構えた。
だが、標的は豪帯様ではなかった。

『…なぁ、凱雲とか言ったな?』

私だ。
ここに来た直後のやり取りが原因か。
となると幾ら脅しはできても私も奴より遥かに格下の地位だ。
腹を括らなければいけない。
覚悟を決める。

『お前、俺の部下になれよ』

だが、そんな私の予想は以外な言葉で吹き飛んだ。

『…お戯れを』
『冗談で言ってんじゃねえよ。確かに俺はさっきといい昨日といい二回もお前に辱めを受けたが…。だが、そんなお前の肝玉を買ってんだ。それに腕っ節だって相当自信あんだろ?』
『いえ、そんな事は…』
『その謙虚さもいい。どうだ?悪い事は言わん。こん
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