1話 リンネ 2
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柚子葉と別れた駅から歩くこと四十分、既に黄昏時は過ぎてしまい薄暗くなった坂道を歩く。前からは部活で残っていたのだろう、制服を着た生徒が数人こちらへ向かって歩いてくる。
怪訝な目で見られるが既に慣れたもので、特に気にも留めることもない。
更に十分程歩くとようやく目的地が見えた。
冠都第二高校と書かれた校門をくぐり、俺はわずかな明かりが灯る校舎へと向かう。
ここは少々変わっており、一つの巨大な校舎ではなく数十の小さめの校舎が山間に転々としている。俺はその中の一つに入ると、守衛さんに会釈をして屋上を目指す。
守衛さんは俺にいいイメージが無いようで、挨拶を返すどころか小さく舌打ちをされるがいつものことなのでスル―。
非常灯を頼りに階段を昇ると、立ち入り禁止のロープが張ってあるが気にせず跨ぐ。
錆びた扉を力任せに開くと、視界にはライトアップされた町と、その向こうに黒い海が、山の景色と
半々に映し出された。見られた景色なので気にすることなく、俺は端にある物置小屋へと入ると、電気も付けずに奥へと進む。
床に敷きっぱなしの簡易布団に寝転がった。体操用マットの上に保健室から拝借したシーツを敷いた簡易布団で、既に二年以上お世話になっている、
「……ここは相変わらず埃っぽいな。」
帰ってくる度に似たようなことを言ってるが気にしないことにした。周りには天井近くまで伸びた無数の棚があり、ペンキや無数の掃除用具も転がっているため独特の臭いを醸し出している。
蛍光塗料なんていいものついていない拾い物の時計を月明かりに照らし、時間を確かめる。まだ8時を過ぎた頃だが、所詮物置小屋に暇つぶしの道具なんて無い。図書室に行けば時間は潰せるが、また守衛が嫌な目を向けてくるのは分かり切っているからだ。
眠気は無いが、横になってればいつか眠れるだろうと目を瞑ることにした。
無音の世界に音が聞こえたきたが、どうやら先程聞いた凛音の歌がリピートされているらしい。思わず口ずさむも、歌詞が無いので鼻歌のようになってしまう。
あのいつまでも耳に残る曲を、歌詞付で聞いてみたいと思うのはおかしいことではないだろう。
「どうして声を出さないんだろうな……あんな綺麗な歌を歌えるってのに。」
スクリーンに映った凛音を思いだす。イメージとしては愛を歌ったような優しいメロディーで、聞いているだけでなんとなく甘酸っぱい気持ちになったあの瞬間。
だけどそれだけじゃないことに何人が気付いたのだろう。
「なんとなく、何かを訴えかけているような、寂しそうにしている感じがあったな。」
あの曲の特徴かもしれないが、今の俺には他の曲を聞く術は無い。佑介がCDを買っていたので今度聞かせてもらうことにしよう。
俺は、そんなこと
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