蒼風の谷
片身
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こから人の形をしたモノが生えてきた。
「やりなさい。」
完成したそれは3mあまりの巨人だった。それが4人も。
術者の命で動き出したそれは大木のような腕を気怠げに振り上げ、先ほどの緩慢な動きを感じられないほど勢い良い振り落とした。
私達はとっさに左右に跳び、腕の落着点を見る。
液状化していた地面が元に戻っており、硬い土が地面から剥がれ割れていた。あんなモノを受ければいくら防御が堅かろうと一瞬で粉々にしてしまうだろう。
「ふっ!」
攻撃後の硬直を狙って剣を振るう。が、腕を切り裂くはずだった剣はいい音を立てて弾かれ、その反動で手まで痺れてしまった。
「な、なんて硬さよ……。」
「ナメて貰っては困るわ。潰せ。」
「きゃぁ!?」
しまった、人形がエリザを捕らえた。自分の事で精一杯だった。仕方ないといえばそれまでだが、前衛と後衛に分かれて戦っていたからこそ私が攻撃をいなし、エリザが強力な魔法攻撃をお見舞いするはずだったのに。
これではいけない。けど、あの人形には攻撃が通じない。どうすれば。
「ぐぅ、うぅあぁああぁ!!」
「エリザ!うぐっ!?」
「あなたも潰れなさい。」
私をみる術者の目は多様な負の感情に満ちていた。ここで終わってしまうのか、カズヤに思いを伝えないまま。
人形の指が肉に食い込み骨をきしませる。その気になれば一瞬でつぶせるはずだ。
「絶望の中で死になさい。」
「うぅ、ぐ…。カズ、ヤ……。」
そこに死が駆け寄ってきた。
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