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SAO−銀ノ月−
第四十九話
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「隙ありっ!」

「甘いっ!」

 側面から飛び出したリズの腕を弱めに弾き、クナイを置いてある机と座っている椅子ごとリズから距離をとった。

「ここまでは来れまい、仕事が出来なくなるからな……!」

「ふふん、それはどうかしら?」

 不適な笑みをこぼすリズだったが、彼女には俺の宣言通り研ぎ機からはあまり離れる気配はないどころか、全く動く気配がなかった。

 代わりと言っては何だが、リズは俗に言う指パッチンの態勢を取ったかと思えば、その指から即座にパチンと小気味良い音を鳴らした。

「今よハンナ!」

「……しまった!」

 いつの間にやら背後から気配を消して接近していた、店員NPCのハンナさんにリズの宣言で突如として強襲され、俺がハンナさんの対処に追われている隙に、本隊のリズが机の上にあったクナイをまとめて持って行った。

 結果として俺は、《リズベット武具店》代表選手の女子二人に、限りなく小規模な戦いに敗れ去ることとなった。

「ドアの施錠が完了致しました」

「お疲れ様。あんたは、コレぐらいあたしに任せときなさいよ?」

 前半はハンナさんに、後半は勝者の権利たるドヤ顔と共に俺に発せられたものだった。
敗者たる俺には、リズの言葉を忸怩たる思いで受け止めることしか出来ず、何も無くなった机でお茶を飲むしか出来なくなった。

 ……今から思えば、この思いつきだけで始めた料理スキルによるお茶にも、随分助けられたものだった。
やはり美味いものはどこであろうと……いや、こういう状況だからこそ必要なのだと再認識させられた。

「ねぇショウキ。結構武器磨耗してるんだけど、ダンジョンでも行ってたの?」

「……鍛冶してる時は無心ですべし、じゃなかったのか?」

 鍛冶屋の間でまことしやかに囁かれる噂を引き合いに出すが、この噂のことをリズはあまり信用していないので、対してダメージを受けずに次なる会話に移った。

「む……それはともかく。どうしたのよ、コレ」

「……ちょっと理由があってな。キリトとデュエルしてた」

 これ以上のことをリズには話す気はなく、話す理由も特にはない。
リズもこれ以上のことを聞きたい様子だったが、あまり話す気がなさそうな俺を見て断念したようだ。

「まったく……相変わらず、変なところで秘密主義なんだから」

 リズは愚痴りながらも作業する手を止めることはなく、リズの研ぎ機と家の水車が水を巻き上げる音が絶妙なコラボレーションを果たしていた。
それはどことなく聞いていると落ち着く音で、このまま目を閉じれば心地良く意識を失えるだろうが、ボス戦を寝過ごしたということになれば笑えない。

「はい、カタナと足の剣の手入れ完了! クナイはちょっと待ってて
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