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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第一話
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「……ほんとに寝なくてもいいのに」

 何となく喉をなでてみた。反射でひっぱたかれた。










「こっちでいいのかな?」

 左右を緑の木々に囲まれ、落ち着いた石畳の道をレイフォンは一人で歩いていた。目指す先は第一食堂だ。
 昼の時間帯故か、周囲にいる知らない生徒たちもレイフォンと同じ方向へ進んでいる。
 眠りから覚めたクラリーベルは、少し用があるから先に行っていてくれ、とレイフォンに言った。そもそもクラスが違うアイシャとは終わる時間が分からないから食堂での待ち合わせ。分かりやすいから、と選んだ第一の食堂目指しレイフォンは道を歩む。

「……うん、迷った」

 今どこにいるか分からない。周りにいたはずの学生たちも、いつの間にか姿がほとんど見えなくなっている。
 途中何度か分かれ道があった気もするが、きっとそこが問題だったのだろう。そもそもこの学内を歩むのはレイフォンにとって今日が初。大体こっちだったはず、で歩いて行けるはずがない。周囲に人がいることに安心して歩いた結果がこれだ。

 朝に見たはずの学内地図も記憶が朧だ。こんなことなら地図を持っておくべきだったと軽く嘆く。
 レイフォンは軽く後ろを振り返り来た道を見る。方向はあっているはずだから近くまで来ているはずだが、このまま行っていいモノか。少し戻り、建てられていた簡易地図を見に行ったほうがいいかもしれない。

「変に迷うと待たせちゃうし、確認したほうがいいか。走ればいいし」

 よし、と軽く足に力を込める。そのまま走り出そうとした所で石畳を走る足音が聞こえてくる。振り返ればひとりの女生徒が小走りでこっちに向かっていた。付けているバッチからして何年かはわからないが上級生だろう。

「ちょい、そこの新入生。ちょっといい?」
「何か用ですか?」

 視線から分かっていたが、やはり自分に用があるらしい。走って乱れた息を整えている相手を見る。
 肩に届く黒髪は額が出るように真ん中で分けられ、後ろ側は纏められて簪が刺さっている。背はレイフォンより少し下。普段は晒されているだろう健康的な額には髪が少し張り付いている。
 自分に用があるとしてもレイフォンには覚えがない。一体何なのか。

(そう言えば確か……)

 入学関連でもらったパンフ。めんどくさくて読まず、リーリンにそれでパタパタ叩かれた冊子。そこにあった一文を思い出す。
 ――怪しい宗教、サークルの勧誘に新入生は気をつけましょう。

「あ、僕は用があるのでこれで」
「怪しい者じゃないから」

 レイフォン は 逃げ出した。しかし 回り込まれてしまった。
 女生徒に袖を捕まれレイフォンは逃げるのを阻止される。怪しくない、と言われた方が余計に怪しく感じて
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