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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第一話
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る。さっき抱いた知的なイメージ、あれは全く間違いだったらしい。勉強に関しては本質的に自分と同類だ。中身と見た目が真逆を行っている相手だ。
 だが、誇れるものでもないことを自信満々に堂々といい放つ所はある意味素晴らしく思える。真似したくないが。

「というわけでだ、課題が出たら写させて欲しいし、何かあったら代返頼む」
「ああ、うん。いいけど、僕に宿題写させてって言ったの、君が生まれて初めてだよ」

 そしてそれは成立しない未来が確定している。寧ろレイフォンは写させて欲しい側だ。そもそもここの授業で代返が成立するのか疑問だ。だが、悪い取引ではない。少なくともレイフォンは自分より馬鹿な学生は少ない、という変な自信がある。
 一般教養科に普通に入れる人物のはずだ。自分より上のはず。そんな確信を持つ。勉強が嫌いな身として、楽を出来る可能性があるならそれに賭ける。それに知り合いを多く持つことは悪いことじゃない。見聞を広める。女王の命令に、それは含まれてもいる。

「まあこれからよろしく。僕はレイフォン・アルセイフ」
「ルシル・アルメニアだ。よろしく。暇なら一緒に飯でも食べないか」
「うーん、もう一人と一緒に食べる予定があるしそれでもよければだけど……また後でにしよう」
「だな。俺も別で用事あるし」

 なら何故聞いた
 不条理に訝しむレイフォンをよそにルシルは外へ目を向ける。着慣れていないのがひと目でわかる学生服に身を包んだ生徒たちが外を歩き回っている。そのままポツリと、ルシルは言う。

「この街は学生が多い。世間と呼ばれるものは酷く狭く、そして狭量だろう。一つだけ忠告しておくレイフォン」
「何?」
「恐らく全裸はマズイ」
「?!」

 凄まじく真面目な瞳で言い放たれた言葉に返せるほどレイフォンの語彙力は高くなかった。何が言いたいのかもわからなかった。何となくだがルシルの性格がレイフォンには分かってきた気がする。

 どうやら特に教室にいる意味もなさそうだ。何か連絡でもあるかもしれない、と思ってきたがそれもない。黒板に明日から通常通りの時間に、と書いてあるだけ。これ以上いるのも時間の無駄だろう。何事もなかったかのように二人共席を立ち上がる。
 
「じゃあなレイフォン。また明日」
「うん、また明日」

 他の生徒達も無駄だと悟ったのだろう、段々と帰り始めている。そろそろ自分たちも動くべきだろう。アイシャを待たせることになる。それに食堂で食べる予定だ、早く動いたほうがいい。ここでの一般的な購買がどういったものか、その辺をレイフォンは知らない。席が無くなりでもしたら困る。初日に合った、酷く軽い荷物を手にレイフォンは席を立つ。
 それにしても随分静かだったな。そう思いつつレイフォンはクラリーベルの方を向く。そして気づく
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