第一章 【Re:Start】
第一話
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シャで二手に分かれる。レイフォンとクララは同じクラスだが、アイシャは別なのだ。小さく手を振るクラリーベルをアイシャは無言で見つめる。
「……ちっ」
「あ、今舌打ち……」
しましたよね、とクラリーベルが言うよりも早くアイシャは視線をレイフォンに向け口を開く。
「じゃあ、レイフォン。あとクラリーベルも。またあとで」
それだけ言って背を向けさっさといってしまう。
またあと、とは昼のことだろう。一緒に昼食を食べる約束をしているのだ。
自分たちも早くクラスへ行ったほうがいい。そう思いレイフォンは何とも言えない表情をしているクラリーベルと一緒に廊下を進み、教室の前にたどり着く。中からは話し声が聞こえてくる。既にもうある程度集まっているのだろう。
「あ、出来れば様付けやめて下さい。変な趣味だと思われても困りますし」
「わかりました」
ガラガラと音を出す引き戸を開け、レイフォンたちは中に入る。黒板にいくつも並べられた机、レイフォンが知っている教室とそこまで差はない。
指定もないので適当に後ろの方に席を取って座る。レイフォンの後ろがクラリーベルだ。
「後ろの席を取るのって、無意識に勉強に対する忌避感があるらしいですよ」
「え?」
「積極的なら前の席。後ろっていうのは講師に顔を覚えられるのを避け、遠ざかろうとする意識。右が肯定、左が拒否、でしたっけ。迷わず後ろに来るあたり流石ですね。あ、ちなみにシノーラの実体験です」
「え、いや、あの。そのですね、そんなつもりは。それを言うならクラリーベルさ……クラリーベルも」
思わず「様」を付けそうになったのを慌てて訂正しつつ、そんなつもりはないと一応弁明する。それにしてもシノーラ……陛下は何をやっているのだとレイフォンはつい嘆く。実体験:シノーラというカテゴリー。そんなに勉強が嫌いなのかとあれだけ一方的にいたぶられたのに親近感がわいてしまう。
言われたクラリーベルは体を投げ出し顎を机に付け、振り返ったレイフォンを見る。
「いえ、私は単に眠りたくなった時用に壁が欲しかったので。レイフォンが前に出たら前に行ってましたね、ええ、間違いない。そこまで勉強に不真面目じゃないですよ」
寝ようとする時点で不真面目ではないのだろか。
ふみゅー、と机に突っ伏したクラリーベルにそうレイフォンが言おうとした時、横から声が聞こえた。
「ならあれだな、オレは不良学生ってことか」
声の主はレイフォンの隣の席だ。
縁無しメガネをかけた細身の男子生徒。オールバック気味に軽く後ろに撫で付けられた髪に鋭い瞳。制服はレイフォンと同じ一般教養科だ。軽く指でメガネを抑える姿に知的な印象が浮かぶ。こういう人は勉強できるんだろうな。そんな印象がレイフォンの中にはある。
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