第一章 【Re:Start】
第一話
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達で列が乱れる。凄まじい数の人間が狭い空間で動き、人波がレイフォンたちの方まで押し寄せる。バランスを崩しのまれれば大勢の人間に踏み潰され大怪我をしかねない。実際、その波にのまれたのだろう誰かの悲鳴が聞こえてくる。
逃げようにもそこまで空間がない。それに一般人であるアイシャもいる。ため息をつき、レイフォンとクラリーベルはアイシャを囲うようにして立ち、バレない程度に剄を体に込める。向かってくる人波を別の方へと受け流しつつ、その流れに乗って少しずつ動いていく。
「ありがとう」
「別に気にしなくていいよ」
二人からしたら単なる共同作業みたいなものだ。眠気覚ましにはちょうどいい。
「どうしますクラリーベル様?」
「目立つのもあれですからね。まあ、現状維持でいいでしょう。警察機構か、それか武芸科の誰かが止めますよ」
まあそれ以外ないか、とレイフォンは思う。力を見せびらかすのは禁止されている。頷き、ひたすらに向かってくる人波を別方向に流し、時には流れに乗って背後にいるアイシャを庇う。
クラリーベルの予想は正しかった。武芸科の在校生側から剄の奔流が上がり、誰かが動く。
(……ん? あれ?)
その剄にどこか既視感を覚えたレイフォンは疑問を持つ。
その誰かが喧騒の中心にたどり着く。瞬間、響く衝撃とともに出されていた二つの剄が止まる。
そして生まれた一瞬の空白、剄が広域に拡散される。と思うと同時、一度目とは比にならない凄まじい衝撃と轟音が空間に響き渡る。
地響きのような床に伝わる振動。空が破裂したような轟音。
その二つに呑まれ、喧騒は強制的に押し止められていた。
結局式典は中止になった。怪我をした生徒は医務室へ運ばれ、騒動の原因となった生徒はどこかへ連行されていった。
無関係な生徒たちは解放され、それぞれのクラスへと分かれていく。
「誰だか知らないけど鮮やかというべきですね。結構強い剄でしたし」
「上手いこと意識誘導と虚を付いた制動ですよね」
「よく分からないけれど、そうだったのあれ?」
「うん。音と衝撃での制圧って結構有効だからね」
疑問を浮かべるアイシャにレイフォンは答える。
まず喧騒の原因であり中心の二人を同時に制圧。それを衝撃と気配で全体に知らせ一瞬の空白を形成。意識を向かせた後、自身の剄を広域に拡散させ自分の存在を更に強調。全体の意識が虚から戻る前に強い振動と大きな音を差し込み、無理やりに精神を落ち着かせる。力技だがいい手段だ。
感じた剄も、自分たちには劣るが十分な強さを感じるものだった。いい武芸者がいるのだろう。
「じゃあ、私たちはここで」
廊下の途中でレイフォンとクラリーベル、それとアイ
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