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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第一話
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眠いが。
 アイシャは時間通りに起きたのだが、寝ている二人を起こそうとせず先に行くでもなくそのまま起きるまで待っていた。本人曰く、疲れていたのだから起こしたくなかった。規律とか別に……らしい。

「というかそこはやっぱり起こして……あれ?」

 それでも納得できずレイフォンは言いかけ、となりにいたはずの人物がいないのに気づく。振り返ると少し後ろでアイシャが息を荒げていた。
 武芸者であることをあまり表に出さないため、レイフォンとクラリーベルは一般人レベルにまで抑えて走っている。それでも二人は武芸者だ、実際の一般人とは身体能力が雲泥の差。暫く走っていたためアイシャの体力が持たなかったのだ。
 それに気づき、二人は少し道を戻る。

「大丈夫?」
「ハァ、ハァ……へい、き。……ごめん、止まっちゃって」
「いえ、気になさらず。気づかなかったこっちもこっちですから」

 アイシャの息が整うのをしばし待って三人は歩き出す。
 既に遅刻は決定しているのだ、無理に走るよりはいい。

 大半の住人が既に出向いているのだろう。生徒主導のこの都市ならば当然だろうが、今の時間街中は酷く静かだ。

 開いていない店の通りを歩き、レイフォンたちは学内の敷地へと入る。地形がわからないため地図を見つつ式典が行われる講堂へと向かう。

「何か騒がしくないですか?」

 クラリーベルの言葉にレイフォンも感覚を少し研ぎ澄ませる。確かに普通とは違ったざわめきが感じられる。何かあったのだろうか。
 もう始まっていますよ、そう告げた係りの人に学生証を見せ、レイフォンたちは講堂の中に入る。
 
「喧嘩、かな?」
 
 どうやら武芸科新入生の方で言い争いが起こっているらしい。僅かだが剄を出しているらしくその余波を感じる。
 遅れた負い目と、巻き込まれるのも嫌なので三人ともそそくさと一般教養科新入生の列の方に向かう。
 ある程度離れているから大丈夫、のはずだが。
 
「少しばかり、空気が悪いですね」
「はい。何もないといいんですけど……ふぁ」

 荒れた雰囲気が全体に伝播している。こういった時は無意味に被害が大きくなるという事をレイフォンは知っている。めんどくさいことが起きないといいな。眠気からあくびをしつつそう思う。
 だが、こういう時大抵レイフォンの願いは裏切られる。

 人の波が大きく蠢き、荒々しい二つの剄が出される。口喧嘩が乱闘に発展したのだ。恐怖からどこかで悲鳴が上がる。そしてその空気が予想通りほかにも伝播する。
 いくつものレギオスからやってきた生徒同士。敵対する関係のものも多い。最初の乱闘を発端にして生まれた空気に呑まれ、その者同士の間にも一触即発の空気が流れる。

 起こった乱闘を恐れ、その場から離れようとした人
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