第一章 【Re:Start】
第一話
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た。
下にいたのは人だった。フェリは肩車をされていた。
フェリに弄られたのだろう、強い意志を映し出すような黄金の髪は無造作に束ねられている。可愛い、というよりは綺麗と称される容姿に確かな意志を秘めた瞳。その見に纏う武芸科の制服が、彼女の今の立場をレイフォンに教える。
もう会うことはないと思っていた。最後の誓いを自ら破ってしまって、後ろめたさで手紙を読むこともできなかった。その瞳に貫かれ、あの時の別れがふと脳裏に蘇る。足が過去に囚われ、地に根を張ったように吸い付き、動かない。横で疑問を浮かべるクラリーベルたちに意識が割けない。
一歩、また一歩と彼女が近づいてくる。あの時よりも背が伸びた。力をつけたのも見ただけでわかる。彼女は懐かしさを噛み締めるように、何を言うか考えるように小さく微笑んでいる。
レイフォンは逃げ出したかった。憧れた彼女に、何か言葉を返せるようになんて思えなかった。きっと、あの意志を貫き続けただろう彼女に、自分は何を言える。けれど、足は動かない。もしかしたら、そんな自分に何かを言って欲しいのかも知れない。
そんな思いが巡る。巡り、彼女が、目の前に立つ。気づけば、レイフォンの自然と口は開いていた。
「お久しぶりです――ニーナさん」
「“次”はあったな。ああ、久しぶりだレイフォン。あの時の約束はまだ有効か?」
かつての弟子とでも言うべき存在、ニーナ・アントークはそう言って笑った。
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