第一章 【Re:Start】
第一話
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ど」
「確か、お金を頼んだんだっけ?」
「ええ。ちゃんとしたのを買うと高いですからね。全部を一度には無理です。足りない分を結構前に要請して、多分そろそろ来るんじゃないかなと」
「ですね。時間もあるし、ちょっと見て行きましょう」
区画を移動し専門店に行ってどういったものがあるのか再度見て回り時間を潰す。いい暇つぶしだ。
「道具、私も使っていい?」
「アイシャも? 別にいいよ。鍵は後で渡すから」
他にも適当に店を見回りつつ商業区のアーケード街を通っていく。
遅刻して走った朝の街とは全く別の、人気にあふれた街だ。店を運営する学生は皆持ち場に戻り、それを利用する側の生徒もまた戻っている。自分たちと同じようにブラブラと歩いているもの、恋人なのか異性と歩くものなど様々だ。これがこの場所の本来の姿なのだろう。
この場所の彼らのように、レイフォンも経済活動に参加しなくてはならない。バイトという形でだ。現状、まだ一つしかしていないそれを思いどうするべきかと悩む。週の内入れているのも二日でそこまでの負担ではない。
経験を得るためにも後々あと一つ程は別のものを増やさないといけないだろう。クラリーベルも同じような状態だ。アイシャに関してレイフォンはよく知らない。何でも、学校が始まってから決めるとか。
シュナイバルでのバイトやグレンダンでしたバイト擬きなどのことを思い出し、心が痛くない物を探し当てられるようにとレイフォンは祈る。肉体的に辛いのはいいが、精神的に辛いのはほんとうに辛い。シュナイバルでは一時期それで病みかけるほどだったのはいい思い出だ。やはり一番は人間関係、ある程度の下調べは大事だ。
そんな事を考えていたレイフォンは、前を歩いていたクラリーベルが止まったことに気づかずぶつかってしまう。
「どうかしましたか?」
「あれ、何でしょうね」
指差された方を見る。遠く、人並みの向こうにフェリが見えた。
「……え?」
人混みの向こうに、だ。
行きかう人々の頭の上にぴょん、と。まるで浮いているかのごとく腰から上が出ていた。明らかに等身のおかしいそれがじっとレイフォン達を見ていた。そして不意にこちらをピッと指差したかと思うと、ジグザグに動きながらこっちに向かってくる。
思わず逃げ出そうとクラリーベルと一緒にレイフォンはアイシャの肩に腕を回し支える。そのまま足に力を込め走り出そうとするのと同時、フェリ? が人並みを越えてその全体像を表す。その姿を――否、腰から下を見てレイフォンの足が止まる。
分かっていた。
どこか、予感はあった。
あの入学式で、あの剄の波動で。もしかしたら、あの人がいるのかもしれないと。恐ろしい程に真っ直ぐなあの波動は、昔確かに感じたものだっ
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