第一章 【Re:Start】
第一話
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フォン、これも良かったら食べる?」
「ありがとう……手、どうしたの?」
伸ばされたアイシャの右手の掌には傷がある。擦過傷と、何かを強く握ったようなそんな赤い痕だ。見た限り出来てからそこまで時間は経っていない。
「ちょっと転んだだけ。気にしないで」
「あとで消毒した方がいいよ」
「分かった。……やっぱり、動くなら体鍛えたほうがいいよね」
「? まあ、転びづらくはなると思うよ。体幹が安定するのは大事だから」
それはさておき、アイシャが出した料理をパクリ。香草で包まれた魚の身は柔らかく、大根下ろしがよく合う。油に濡れたレイフォンの口の中がさわやかな風に包まれる。
実際に自分も料理を作ってきた身としてどうすればこの味が出せるのか。レイフォンは興味がわいてくる。それを突き止めるようにさらに味わって食べていく。麻婆豆腐、卵スープ、詰め物、デザート……テーブルの上の一通りの料理をレイフォンとアイシャは味わいつつ消費していく。
そんなことが行われている横で二人の愚痴は終わったらしく、フェリが一旦言葉を切る。
「存分に愚痴を吐けて満足しました。そろそろお暇させていただきます」
「そうですか。よければ一緒に食べていきませんか?」
「いえ、一応用がありますので。……そっちのあなたがレイフォン・アルセイフですよね?」
話題を振られレイフォンはフェリに視線を移す。相変わらずの無表情の瞳が訴える問いに、レイフォンは頷いて肯定の意を返す。それを受けて納得したようにフェリも小さく首肯する。
そして親指をビッ!と立てる。
「がんば」
「はい?」
サムズアップされてフェリから励まされる。
事態が理解できていないレイフォンを他所に、フェリはさっさと横を通って出口へ向かう。最後に軽くこちらへ向け手を振り、レイフォンには全く理解できないままフェリは去っていった。
「何だったんですか今の」
「さあ? そもそも、食事目的でもなく何故ここに来たのかも分かりません」
「そういうのは考えるだけ無駄。早く残りを食べよう」
残り少なくなっていた料理をさっさと三人で片付ける。食べ終わり、クラリーベルのカードで代金を払って店を出る。
「幾らぐらいでした?」
「大体貰った分は消えましたね。結構食べましたので」
クラリーベルがいくら取っていたのか知らないレイフォンは「まあそのくらいか」と納得する。そこそこ高いだけで普通の料金だと勘違いしているのだ。
太陽は天頂から落ちたといえまだ空は青く明るい。かといって特に用もないので三人はさっさと家路につくべく繁華街の中を歩いていく。バスに乗ってもいいが、この時間なら適当に店を見ながら帰ってもいい。
「訓練器具残りどうします? 多分もう少しで買えますけ
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