第一章 【Re:Start】
第一話
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中から書類と封筒を見つけ、封筒の方だけを山に残し書類を取る。
これは『未だ』だ。
山を受け取ったレヴィが不思議そうな目をする。
「なんですか今の? もう終わったんじゃ……」
「いや、これはまだ終わってなくてね。私の方で片付けておくから気にしなくていい」
部屋から出ていったレヴィを見送りつつ、カリアンは手元の書類に目を通す。
『これ』は協力をすんなりと得るための武器の一つだ。
「偶然、か。こういうのもアレだが、全くありがたいことだ」
悪人面、そう言われた顔でカリアンはほくそ笑む。見知らぬ他人が見たら一発で悪役だと断ずる顔で。
ああ、そう言えばとカリアンは思い出す。他にも人と会う予定があったのだ。役員が揃う前の時間を告げていたためそろそろ来る頃だ。最初告げようと思っていたことはもう出来ないが、さてどうしよう。どう動かそう。
思考を楽しむカリアンはふと、出したままの財布に気づく。出したままは危ないと手に取り、そう言えばとカードを取り出して記録を見る。
「……十万、だと」
王家の人間は価値観までも違うのだろうか。
その疑問を抱きつつ、これで友好的になれるのなら安い。
聞こえてきたノック音に返事を返し、開いた扉から入ってきた相手を見つつ、そうカリアンは自分を誤魔化した。
「いやほんと、あれは腹黒いですよ」
商業区の一角、飲食店の並ぶ通り。そこに居を構える高級店に三人はいた。
ここツェルニの店は基本生徒が運営している。この店もその他分に漏れず、店主は学生だ。なんでも実家が料理屋で小さい頃から修行していたらしく、見聞を広め得るために来たここで店を開いたら当たったらしい。もっとも高級といっても周りと比べてであり、学生の街である以上そこまで天井知らずではないのだが。
取り敢えず美味しそうなものを片っ端から頼み、それを食べながらクラリーベルはカリアンへの愚痴をこぼす。
「私がいなければ絶対脅してましたね。ダブルバインドもどきもしてましたし詐欺師みたいでしたよほんと。レイフォンももっとちゃんと断ってくださいよ」
「断りましたよ。でも受け入れて貰えなかったんです」
「意志が弱いんだと思う。レイフォンは間違ってないんだから、もっとちゃんと言わないと」
「ですよね。強気で行っていいんですよ。いざとなれば別の都市行くだけなんですから」
値段を気にしたレイフォンに「会長持ちですから」と告げられた料理の品々。クラリーベルとアイシャは遠慮なく、レイフォンは高い飯に少し気が引けつつも食べていく。
周りを見ればほかにもチラホラと客がいる。だがパッと見でもわかる育ちが良さそうな生徒ばかり。その中で遠慮なくガツガツ食べ
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