第一章 【Re:Start】
第一話
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かして下さい。最高権力者でしょう。無理なら死に行く都市に用はありません。さっさと他へ行きます」
「君は権力者を何か勘違いしていないか……?」
うちの権力者なら出来ますけどね……とクラリーベルは小さく呟く。
その呟きを呆れたように聴きながら、カリアンは嘆息する。
「本来そう好き勝手出来るものではないんだがね……分かったよ、その辺りは何とかしよう。正規の生徒だ、何とか誤魔化せるだろう」
背に腹は変えられぬとばかりにカリアンは了承する。
その答えを聞き、クラリーベルは小さく口笛を吹き指を鳴らす。
「やれば出来るじゃないですか。錬金鋼とかその辺もお願いしますよ。あと、一般生なのにただ働きは嫌です。別途報酬もあったりしたら嬉しいです」
「もともと都市戦に貢献した者には報奨金が出る。その辺は大丈夫だ」
「なるほど、でしたら現状はそれで結構。話は以上ですか?」
「ああ、協力が取り付けられればそれで今は満足だよ。無理を言って嫌われても困る。話はここまでだ。失礼したね」
ひょこり、レイフォンが動く。途中からクラリーベルに託して案山子になっていたが、話が終わったことを理解して動き出したのだ。取り敢えず現状のままでいいらしいということを理解し、レイフォンは安堵する。
用件が終わったのなら帰ろう。そう思い、クラリーベルに声をかけるべくレイフォンは口を開く。その声が出るより早く、クラリーベルは一歩前へ出る。そして手を伸ばす。
「なら、ここからは私の用件です――お昼代を寄越しなさい。財布を早く出すのです」
「は?」
不満気な表情で手を伸ばして言い放つクラリーベル。突然のカツアゲ宣言を受け流石のカリアンも理解が及ばない。呆けた視線がクラリーベルに向かう。
反応がないカリアンに痺れを切らすように、伸ばした手がぷらぷらと揺れる。
「あなたがレイフォンを攫ったせいで私たちはお昼が食べられませんでした。朝から食べていないのにその仕打ち。その責任は取ってもらわねば」
「う、うん? ちゃんと朝起きて食べれば良かっただけで、私は関係……」
「あるんです! 何朝を持ち出してうむやむにしようとしているんですか! 問題はあなたのせいでお昼を食べられなかったことでしょう!!」
「いや、君がだね」
バンバンバンバン。デスクを叩くクラリーベル。ひたすらにフリーダムに、空腹でブーストされた苛立ちを目の前の元凶にぶつけていく。
カリアンは何故こうなったのか全く理解できず苦悩する。クラリーベルトの付き合いが長いレイフォンでさえ現状は理解できていないのだから仕方はない。
カリアンとしては話が終わったのだから二人にはさっさと去って欲しい。時間が経って暇を持て余した役員でも来たら説明が面倒だからだ。レイフォンはとも
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