第一章 【Re:Start】
第一話
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ッ……三王家、だと」
目の前の存在が何なのか気づきカリアンは歯噛みする。
グレンダンを統率する柱の一つ。その跡取り。天剣候補の監視役という立場を考えれば当然と言える存在。本物の為政者の一端。当然、その実力もしかり。中身とて、その身を内包する一般教養科の制服が似合わないにも程がある化物。カリアンの目に移る彼女の姿は、既にただの学生ではない。
カリアンの相手は既に彼女だ。その後ろで流れが理解できず呆けた顔をしているレイフォンなど既に眼中にない。彼女が現れてから露骨にレイフォンの表情は明らかに落ちついた。場が移ったことを知ったのだ。ならば渡りを付けるは彼ではなく彼女の側。
どう潜り込む、その理に、心に。折り合いを付けるその境をカリアンはひたすらに探る。
「私たちの目的は、バカを起こした後ろの人に一般教養科で常識を学ばせること。もし転科を強要されるようなことがあれば、他の都市に移るようにも言われています」
「バカの矯正か……なるほど。もし移動するなら、私にそれを止める力はないな」
「ええ。この都市程度の武芸者なら、いくらでも叩きのめせる。……先ほど、この場に女王はいないと言いましたね。それは間違いだ。今回の件において私は代行権限を承っている。――今この場で、彼において、女王は私だ」
「――女王はここにいる=v
それは宣言。揺るがぬと、揺らがせぬと。
貴様の手など届かせぬと。
犬歯を見せ酷く楽しげに嗤うクラリーベルの笑みが、カリアンの望みを絶つ。
「……ならばどうするね。現在ツェルニが保有する鉱山は一つ。そして今年は都市戦がある年だ。下手すれば滅ぶ。仮にそのまま続投するとして、この都市が死ぬのは君たちの本意でもないはず」
「ひと……それは酷い話だ」
「そう、酷いのだよ。それを立て直すため、私は前生徒会長を手段を選ばず叩き落とした」
ん〜、と顎に手を当てて小さく声を上げ、クラリーベルは暫し思考を巡らす。思い出すのはアルシェイラからの命。そしてもしもの時はある程度の裁量権が自分にあることを思い返す。
「今年は一敗も出来無い。都市戦だけでも力を貸してくれれば十分だ。その後はいくらでも元に戻ってくれて構わない。それなりの恩賞も渡すよ」
「……武芸科への転科は何度も言いますが拒否します。本来は、その力を晒すことさえです。面倒事はゴメンです」
視線を窓に向けつつ、返す言葉はやはり否。だが、
「ですが、憂慮の事態が起きた場合、ある程度自由な判断を許されています。面倒ですが、都市戦の時だけは力を貸します。それが最大限の譲歩。これ以上を求めるなら他都市に移りますので」
「規約として基本、都市戦参加は武芸科の生徒だけなんだがね」
「その辺はそっちで何と
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