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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第一話
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ら離れる。レヴィは飛んでいった眼鏡を掛けて後ろで遊んでいる。

「出ましたね元凶。寝ていればいいものを。起きたのならば私にご飯をおごりなさい」
「君と後ろの彼女の御蔭で沈みかけたがね。星が見えたよ」

 クラリーベルを見ようとして、カリアンは眼鏡がないことに気づく。クイックイッとかけた眼鏡でポーズをとって遊んでいたレヴィから「あー」と文句を貰いつつ奪い、かけ直す。

「……君はどこかで」
「クラリーベル・ロンスマイアです。グレンダン出身の。お昼代の請求とレイフォンの迎えに来ました」
「ああ、グレンダンの。なるほど通りで。スコールくん、話があるから君は一体外へ……引き出しを漁っても何もないぞ。やめたまえ」
「えー」

 渋るレヴィをさっさと追い出し、カリアンはデスクの横に立ってクラリーベルと向かい合う。

「出来れば君も出て行ってもらいたいのだがね、ロンスマイア君。私はアルセイフくんと話がある」
「武芸科転入の話ですか? 下らない。それよりお昼代をよこしなさいメガネ」

 心底どうでもいい。そう言うかの如くクラリーベルは吐き捨てる。
 一体どこで聞いたのか。一瞬、カリアンの眉根にシワがよる。

「……武芸者の五感を舐めていたよ。扉越しに聞こえていたとはね。とするとやはり、さきほどの揺れは君か。だが、理解しているのならば話は早い。この都市の命を繋ぐため、アルセイフ君には武芸科に入ってもらいたい」
「命……都市戦ですか。なるほど、理解は出来ます。為政者としては真っ当ですね」
「理解が早くありがたい。彼ほどの力、秘しておいては宝の持ち腐れだ。使えるものは使わねば。もし、君も武芸者だというのなら君も――」
「――だが、私たちの知ったことではない。ンな話却下です却下!!」
「――ッ!?」

 クラリーベルはレイフォンの手から用紙を奪い取り、それをカリアンに向け投げ飛ばす。そしてそのまま言葉の止まったカリアンに対しまくし立てる。

「私たちはグレンダン女王、アルモニス陛下の命によってここにいます。そして陛下は私たちが武芸科への入ることを禁止されました。監督役として、その命を破らせるわけにはいきません」

 足元に落ちた紙を拾い、カリアンの目がクラリーベルを睨む。

「なるほど、君が首輪か。個の意思を縛る、それは時として個を殺すことになる。彼の意思を私は尊重したい。直接的な暴力があるわけではなく、この場に女王はいない。君が黙り、私が手を貸せば女王は何も知れんよ。理解できるというなら手を貸したまえ」
「法は規律です。鎖が嫌だというのなら受ける恩恵全てを放り投げて野生にでも生きればいい。制限無き開放など可能性の道さえ示せない。グレンダン三王家に身を置く跡取りとして、陛下の命をこの場で破る気にはなれませんよ」

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