第一章 【Re:Start】
第一話
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の上に二つ、三つと山を作っている。あれだけの書類を一つ一つ読むなんてレイフォンからしたら気が遠くなりそうな作業だ。
「それだけあると大変そうですね」
「まあ、それが僕の仕事だからね。だが、これで陳述書や企画書には色々と面白いものもあってね。『夜中に叫ぶ案山子の捜査をして欲しい』や『ミスコンがあるなら女装コンを望む!!』とかね。聞くかい?」
いえ、と首を横に振る。生憎そこまで時間に余裕があるわけではない。さっさと本題に入る。
「書類の不備、ということでしたが」
「中には女神なんてPNで『育毛剤の研究費を』何て……ああ、彼女から聞いたのか。その通りだよ」
こっちの要望が届いたようでカリアンは書類をめくっていた手を止め、引き出しの中から書類を出す。
「レイフォ……アルセイヌ君、だったかいもしかして? だとしたらこれもまた訂正しないといけないのだが」
「フであってます」
「それは良かった」
何となく、だがこれは言っておくべきだろう。
「あと、レヴィさんにも言われましたが腐ってません」
「? すまない、少し意味がわからないのだが……」
正直レイフォンにも意味は分かっていないのだから聞かれても困る。人が腐敗する、という意味なら分かるし実際に見たこともあるがそれとは違うことくらいわかる。今度機会があって覚えていたらレヴィに聞いてみようと思う。
レイフォンの情報が書かれたらしき書類をパラパラとカリアンは捲る。それを見るに本当に何らかの不備で呼ばれたのだろう。もっとも、不安だからとリーリンとアイシャに見て貰って書いた書類だ。不備がどこだかなど見当もつかないが。
「今日は済まなかったね。生徒の門出となるべき式典だったというのに中止になってしまって。怪我人も出てしまった。新入生からしたら出鼻をくじかれたようなものだろう」
「人が多いと色々ありますし、ある意味しょうがないところがあると思います」
「そう言って貰えると助かるが、その『色々あるしょうがない』を消すのが私たちの仕事でもある。話も満足に出来ていなかった。新入生としては私のあの話で問題なかったかな? 出来れば意見を聞きたいが」
……何を言うべきなのだろうか。ここはあれだろうか、正直に「寝坊して遅刻しました。何も聞いていません」と言うべきなのだろうか。だがここで会ったばかりの生徒会長相手にそんな事をどうどうと言えるほどレイフォンの精神は太くない。
沈黙が続く。何となく心が痛くなってくる。素晴らしかったと思いますと、取り敢えず適当に流すべくレイフォンが口を開こうとした途端、カリアンは面白げに笑った。
「悪いね、少し意地悪だったかな。君が遅刻してロクに何も聞いていないことは知っているよ」
からかわれたらしい。こっちの反応
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