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鋼殻のレギオス IFの物語
第一章 【Re:Start】
第一話
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響だろう。孤児院での風景を見るに、甘いレイフォン正すリーリンといった形だった。それと恐らく……。
 改めて男子生徒の顔を見る。先ほどクラリーベルは一体どんな表情をしたのか、相手の顔が少し引きつっていた。
 だが意外に根性がある様で相手はすぐに持ち直し、遮られた続きを言う。

「――行ったらしくてさ。二十分ほど前のことだし、多分待っていても意味ないと思うぞ」
「ああ、それはご親切にどうも」

 小さくため息を履く。色々思ったが、正直クラリーベルにとってレイフォンの性格など今はどうでもいい。本当にどうでもいい。問題なのはレイフォンが来ないということであり、そのせいで食事が取れないこと。レイフォンのせいで自分のお腹が空いていることだ。話を聞く限り不可抗力の事態などで無く、レイフォン自身の過失だという事だ。

 考えれば考えるほどに空っぽの腹がムカムカしてくる。現状のこれは全てレイフォンのせいだ。やはり食事の代金を支払わせることぐらい何の問題もない。寧ろ奢らせるが道理。道理なら全力でそれを投げつけなければ失礼だ。自分はお腹がすいているのだ。

「だからどうせ来ないよ。君達との約束破るような相手でしょ? 話からしてまだ昼食べてないみたいだし、奢るからよければ適当な店で俺たちと一緒に……」
「クラリーベル、行こう」

 いつの間にかカバンを持ったアイシャ言う。荷物も全部片付けられている。レイフォンがどこかへ行った、という辺りからそれ以降を無視して用意していたのだ。
 再度遮られ、言葉に詰まった男子生徒の視線がさ迷う。勇気を出したのだろう、あー、と声を出し、アイシャの前に立つ。

「えと、君なんていうの? 俺はロイスって言うんだけど、君もよかったら……」
「ワザと前に立たないで、邪魔」
「……あ、うん。ごめん」

 ロイスの背後、彼の友人たちから爆笑の声が上がる。よほど今のやり取りが面白かったのだろう、哀れなことだ。アイシャの威圧に押され道を開けるように一歩下がったところで更に笑われる。
 クラリーベルはそんな光景を見ながら荷物をさっさと詰め、アイシャに続いて席を立つ。所在無く、救いを求めるように視線を寄越してきたロイスの横を通る。通る際「ま、いいことあるよ」といった感じに一度だけ肩をポンと叩き、そのまま素通り。振り返った先では友人たちに背中を叩かれ爆笑されている姿を見つつアイシャに合流する。
 
「さっさと約束破ってしっぽり逃げたバ……失敬、レイフォンを見つけましょう。取り敢えず睨むのは私じゃないです。生徒会の人間に連れられ、なら近くの店か生徒会関係の場所でしょう」
「生徒会長に直接文句を……」
「いやそれはちょっと。適当に聞いて探して見つけてご飯おごらせましょう。お腹が空いて空いて。ああ、何かまた腹たってきました」

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