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魔法使いへ到る道
8.雪やこんこ、猫やこんこ
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ゃん。犬派と公言しているから今膝の上にいる猫に構うことを躊躇っているアリサちゃん。でもちらちらと横目で伺っては恐る恐る手を伸ばしてすぐに戻し手を繰り返しているアリサちゃん。
「うう、いいなぁ、ケンジくん。ウチの子たちと仲良しで」
「いいな、って。お前ん家の猫だろう。懐いてないのか?」
「ん〜、きらわれてはいないと思うんだけど、今のケンジくんくらいべったりしてくれないっていうか……ほーら、おいでおいで〜」
 やって見せたほうが早いとばかりにすずかは手のひらを差し出し猫なで声で呼びかける。その声に反応したのは俺の胸の上でふてぶてしく丸まっていた黒猫で、しなやかな動きでひょいひょいとすずかの許へ行き、
 にゃー。
 ぽん、と差し出された手に前足を軽く乗せ、義理は果たしたとばかりに踵を返し元いた場所に帰ってきた。
「…………ね?」
「さみしそうな顔をするな。俺が悪いことしたみたいじゃないか」
 よしよし、とすずかの頭を撫でてやる。小猫が一匹が二の腕の辺りにぶら下がっていて重かったけど、すずかが嬉しそうだったんで頑張った。
「にゃー」
 にゃにゃ?
「にゃーにゃー」
 にー、にゃおーん。
「にゃにゃにゃ、にゃんにゃん」
 人間の言語を使うことを放棄したペアがいる。なのはと、なのはに両手で持ち上げられてぶらぶらしている三毛猫だ。もうなのはが可愛くて濡れそうなくらいだけど、あれは会話が成り立っているのだろうか。
 え、なになに、『おい』『なんだよ』『ボタン取れてますよ』『うわマジで、新しく買ったばかりなのに』『そこは「俺たちゃボタンなんか元から無ぇだろ」ってツッコむところだろーがよ』だって?ありがとう黒猫。
 とりあえず一人で妄想しているのが悲しくなったんで、黒猫の首根っこを掴んでなのは目掛けてぶん投げる。
「ふにゃっ!?」
 びたーん、と顔面にべったりと猫が張り付いた。いきなり視界が塞がれた事に混乱して立ち上がりふらふらと辺りに手を伸ばすなのは。その手がストーブに向かった時はすずかとアリサが慌てて止めに入った。
 はっはっは、これこそ助け合いの精神、美しい友情だね。
「なに黙って見てるのよ!アンタがやったんだから責任取りなさいよ!」
「あれあれ?なんでこの子離れようとしないの?剥がすの手伝ってよ、アリサちゃん、ケンジくん!」
「ほにょもむむろ〜!?」
 ばたばたと手を振るなのはの動きを抑えるのは一人では荷が重いらしい。やれやれ、仕方が無い。手伝ってやらなきゃならないからちょっとどいてくれよ猫さんや。
 にゃー。
 ありがとう。
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