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魔法使いへ到る道
8.雪やこんこ、猫やこんこ
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いけば雇えるんだよ。コスプレじゃないやつ。
 ううむ、しかしメイドさんをローアングルから見上げる機会というのも中々ないものだ。子ども時代にメイドさんがいる家の子と友達にならなきゃ出来ないことだね。きっと流れ星を見るより難しい。
 ヘッドドレスがちらちらと見え隠れする感じ。意味も無くときめいてしまう不思議な感情。
「あー、ケンジくん、ノエルさんに見蕩れてる!」
「え、ああ、うん。ノエルさんって綺麗だなー、と」
「ふふ、ありがとうございます」
 優しく微笑み返ってくるお礼の言葉。あしらい方にずいぶんと慣れているようだった。まあ俺も本音を言っただけだから大してダメージは負っていない。
 ただし納得できていないお子様が一人。
「むー、キレイだって、なのはには言ってくれたことないのに」
「何処でそんな言葉覚えてきた」
「お姉ちゃんがケンジくんに言ってみて、って」
 美由紀ェ……。小学生に何言わせてんだ。妹に何言わせてんだ。
「ね、ね、なのはは?なのははキレイ?」
「うんうん、なのはちゃんは可愛いよ」
「えへへ〜」
 適当に言っておざなりに頭を撫でてやったら物凄く喜ばれた。これが純粋さ。見るもの全てを幸福にする幸せスパイラル理論の原点。思いついた言葉を並べ立ててみただけです。
 にこやかに笑いながら先導してくれるメイドさんたちの後を、なのはの手を牽きながら追いかけた。
「あ、もちろんすずかもアリサも可愛いよ?」
「あら、嬉しいわ」
「ありがとねー」
 ちょっと格好つけてみたら全然相手にされなかった。これはこれでショック。


 すずかの家には薪を燃やして火を熾すような暖炉もあるらしいが、最近じゃ環境に気を使って使用を控えているらしい。この家だけ中世か。
 ぬくぬくと電気ストーブの前で暖をとる。四人で肩を寄せ合っているから保温性もばっちりです。
 にゃー。
 にゃー。
 にゃー。
 ……やっぱりちょっと暑いです。
 月村家で飼っている大量の猫が俺達の体に纏わりついている。最初こそ可愛さに癒されたりしたがもうダメだ。暑くてたまらん。
「俺から離れろー」
 にゃー。にゃー。にゃー。にゃー。
 肩や膝、頭にまで上っていた猫を掴み放り投げる。滞空した猫はくるくると身を捻って着地し、何事も無かったかのようにまた俺の体に上る。
「てーい」
 にゃー。
「おらー」
 にゃー。
「こなくそー」
 にゃー。
「ばたんきゅー」
 にゃーにゃー。
 永遠に続くかと思われた俺と猫との不毛な争いは俺が根負けしたことで幕を閉じた。寝転がった俺の体に上に次々と猫が飛び乗ってくる。ちょっと重い。流石にうざい。
「誰か窓を開けてくれないか?俺の手は塞がってるんだ」
「いやよ。寒いもの」
 そんなこと言わないでよアリサち
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