ALO編
episode5 旅路、風妖精領2
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敵性能が四人中ダントツ、一番後ろで後方警戒しながらでも前を見通すことができており。
―――だから、最後尾から、皆を見ていた……
振り返る、三人。
大きく口を上げて笑う青年。
無表情に目線だけを向ける少女。
そして、くるりと回るように、踊るように、『彼女』がこちらに向き直り。
「っ、うおっ!!?」
その顔が脳裏に映し出される直前に、ぐらりと世界が揺らいだ。
足を踏み外した、と思った時にはもう、俺はまっさかさまに地面へと落ちていて。
誰かの驚いた悲鳴が、かすかに聞こえた気がした。
◆
「シドさん、本当に大丈夫ですか?」
「あ、ああ…」
尋ねるモモカに、生返事を返す。全然大丈夫じゃないのがバレバレだ。
全く、我ながら情けなくなる。
枝を踏み外しての転落程度なら当然この世界では死にはしない。が、そんな初心者のようなヘマをやらかすバカを見れば、心配して当然だろう。特にいつもから俺の曲芸機動を見てきていた二人の心配が酷かった。モモカは先の通りだが、ブロッサムまでが慌てるほどに俺の様子はおかしかったのか。
『無理をなさっているのでは?』
「本当に、ほんとーに大丈夫ですか?」
「大丈夫だって……」
その後も戦闘を重ねるごとに、俺の様子がどんどん変になっていったのが分かったのだろう、モモカが心配そうな声をかけて俺を見やる。後衛のモモカですら「変だ」と思うほどなのだ、前衛二人はもっと如実に感じたことだろう。
「きつかったら、ここで落ちても大丈夫だよ?」
「無理する用事があるわけでもないしね〜」
「大丈夫だって。ちょっと考え事してただけさ」
そう言って露骨に目線を逸らす。見やる先は、古森の向こう。既にもうゴールが見えていて、木立の終わりから黄金色の光が漏れだしていた。その眩しさに、また目を細める。
「考え事って?」
「昔のことさ。昔の、もうやり直せないこと。誰にだってある、後悔ってやつさ」
その言葉に、モモカが息を呑んだのが分かった。
そんなに怖い口調じゃ無かったつもりだがな。
「おーい! こっちこっち! すごい綺麗だよ!!!」
「Mobはもう大丈夫っぽいよ〜!」
シルフの二人の呼び声に、俺達も足を速めた。抜け出た木立の先。
「うわぁ……っ!!!」
モモカの感嘆の声が、横から聞こえた。
「おぉ……」
俺も同じく、感嘆の声を漏らす。
抜け出た先は、まるで絵画のように美しい夕陽があった。崖へと伸びる、一本の細い岬がその陽光を受けて赤々と染まっている。岬を覆う丈の低い草が、後ろに茂る古森の木々が、聞こえるか聞こえないかの微かなざわめきを
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