第一幕その十
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第一幕その十
「そうなっているのだ」
「そうか」
「これでいいか」
ここまで話してまたミーメに問うた。
「この話は」
「うむ、それでいい」
彼の言葉に真剣な面持ちで頷くミーメであった。
「わかった」
「それでは三番目だな」
「それだが」
それを受けて話してきたミーメだった。
「次には天界のことを聞きたい」
「そこなのだな」
「そうだ、天界はどうなっている」
「それが三つ目の質問だな」
さすらい人はこのことをミーメに確認するのだった。
「それでいいな」
「それでいい」
そしてミーメもそれでいいと答えた。
「それでどうなのだ、天界は」
「天界には神々がいる」
さすらい人は答えはじめた、
「彼等の城はヴァルハラといい」
「あの城か」
「そうだ、天に浮かぶ高貴な城だ」
さすらい人はヴァルハラをこう評した。
「そして彼等は光の精である」
「光か」
「そして光のアルベリヒなるヴォータンがだ」
ここでは自嘲めいたものも含まれていた。
「彼等を治め世界のトネリコという大樹から」
「ユグドラシルだな」
「知っているのか」
「聞いてはいる」
ミーメもそれは知っているのであった。
「世界の中心に生えているあの大樹のことはだ」
「では言おう。その大樹のもっとも神聖な枝からだ」
「そのヴォータンは何をしたのか」
「一本の槍を作った」
彼は語ると共にその左手の槍も見た。
「その槍はだ」
「どうだというのだ?」
「大樹が枯れても損なわれることはない」
ここでまた槍を見るのであった。
「ヴォータンはその槍の穂先で世界を治めているのだ」
「世界をだな」
「そうだ。聖なる契約を示すルーンの言葉によって」
「それによってだな」
「彼はその文字を槍の柄に刻んでいるのだ」
ミーメはここで見た。その槍を。
遠目ではあったがそこにあったものは。
「やはり」
「ヴォータンの拳が握っているこの槍を動かす者は」
ミーメが槍を見るその間にも彼の言葉は続く。
「世界の支えを手にすることができる」
「世界を」
「ニーベルングの一族も彼には屈し巨人達も彼の言葉には従う」
「誰もがか」
「そうだ、誰もがだ」
さすらい人の言葉は何時しか峻厳なものになっていた。
「彼等全ては永遠にその槍を持った者に従う」
「永遠に」
ミーメは彼の言葉に息を飲んでしまった。
「従うだと」
「そうだ、この槍を持った者にだ」
突風が起こった。嵐の様な。それで彼は一旦言葉をとぎってみせたのだった。
しかし暫く時間を置いてから。彼はミーメに対して問うてきた。
「では賢い小人よ」
「わしのことか」
「そうだ。答えてくれ」
ミーメを見据えながらの言葉であった。
「私
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