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ジークフリート
第一幕その一
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第一幕その一

                   舞台祝典劇ニーベルングの指輪
                    第二夜  ジークフリート               
                   第一幕  恐れを知らぬ若者 
 鬱蒼と茂った森の中。高い木々の下に様々な生き物達がおり森は何処までも続くかの様である。木の下にも草があり時折岩も見える。
 そんな緑の中にミーメがいた。相変わらず白衣を着ている。そしてかつて兄であるアルベリヒに虐げられていた時と同じく嘆いていた。
「何たる苦しみだ、無駄な苦労だ」
「またぼやいてるよ」
「そうだね」
 小鳥や動物達はそんな彼を見てひそひそと彼等の言葉を話す。
「相変わらずだけれど」
「進歩がないね」
「わしの鍛えた最上の剣だというのに、巨人でさえ砕けないと思ったのにあいつは砕く」
 こう言って嘆いて頭を抱えている。
「おもちゃみたいに真っ二つだ。あそこまで簡単にだ」
「確かにあれはね」
「凄いね」
「普通じゃないよ」
 どうやら動物達も小鳥も知っているらしい。
「あの子の力はね」
「普通じゃないよ」
「ノートゥングならどうにかなるかも知れんが」
 ミーメはここで腕を組んで思索に入った。
「しかしわしでもあれを溶かし元に戻すことはできん。あの無鉄砲な奴にノートゥングを鍛えて与えてやればわしを尊敬するようになるのだろうがな」
「無理だろうね」
「そうだね」
 動物達は今の彼の言葉は否定した。
「この人じゃね」
「まずそれはないね」
「しかしじゃ」
 ミーメはぼやき続ける。
「わしにはできん。できんことは他にはじゃ」
 ここでさらにぼやくのだった。
「あの恐ろしいファフナーを倒せるのは。黄金とあの指輪を守っているあいつを倒せるのは」
 ミーメのその小さな目が光った。
「あ奴だけじゃろうな。力だけでなく素早くもある。それに恐れを知らぬ」
 その若者のことを言っているらしい。
「あ奴ならばのう。その為には」
 目がさらに光った。
「ノートゥングじゃ。あいつにノートゥングを与えて」
「けれどね」
「そのノートゥングがね」
「しかしわしですら無理だ、あの剣を鍛えるのは」
 ミーメはここでまた嘆いた。その両手で己の頭を抱える。
「どうすればいいじゃ。あ奴はおまけにわしの剣を全て壊してしまう。しかもそのうえでわしを罵る。やれへぼだの腕が悪いだのと」
「ホイホーーーー、ホイホーーーー!」
 ここでだった。森の奥から若い男の声が聞こえてきた。
「噛み付け、噛み付け!」
「うわっ!」
 何とミーメのところに巨大な熊が出て来た。その上に精悍な若者が乗っていた。 
 顔は引き締まり若々しい。しかも端整であり口元には微笑み
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