第一幕その一
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がある。青い目からは強い光を発している。髪は見事な金髪でそれを後ろに撫でつけたなびかせている。白い詰襟の軍服とズボン、そして黒いブーツである。その出で立ちの若者が熊の背にいた。
「こんな馬鹿な奴は食ってしまえ!」
「おい、止めろ!」
その熊をけしかけられたミーメは思わずその若者に言い返した。何とか熊から逃げようとしている。
「一体何をするんだ!」
「御前をやっつける為に連れて来たんだ」
若者は熊から飛び降りながら彼に告げた。その動きは実に軽やかである。高い熊の背から降りても何ともないといった感じである。
「いつも役に立たない剣ばかり作る御前をな」
「剣はまた作っておいたぞ」
ミーメはたまりかねた声で彼に告げる。熊に怯え木の上にあがったうえでの言葉だ。
「だからその熊を追っ払ってくれ」
「剣をか」
「そうだ。だからその熊をだ」
「わかった。じゃあもういいぞ」
若者はミーメに対するのとはうって変わって優しい顔と声で熊に告げた。
「御苦労だったな」
「何で生きたまま連れて来たんだ」
熊が去って行くのを見ながら若者に抗議する。何とか木から下りる。その動きがどうにも猿に似ている。
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