GGO編
百十七話 The End
[2/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
るように、全力で身体を捻る。身体の右側に切っ先を向けて担ぐような構えになったアイリは、左肩を死銃に見せ付けるような体制で彼の方に向けて重心を傾け、腰を落とす。どうやら警戒しているらしい死銃は、油断無くエストックの切っ先をアイリに向けたまま微動だにしない。
「っ!」
「!」
突如、ザシャッと乾いた音を立てたアイリか、凄まじいスピードで距離を詰めた。
彼女と死銃の間にあった間合いは、互いにゆっくりと離れて居た所為か七メートル程。それが瞬時に三メートルの距離まで詰められる。
さて、この時点で死銃には対応策は二つある。
一つはバックステップによって詰められた距離を再び取ること。もう一つは迎撃のための攻撃を彼が放って来る事だ。
尚、サイドステップの確率はかなり低い。何故なら彼等が居るのは砂の上。相手の攻撃が何であれ、自身の中心線上をその攻撃の軌道から外すほどの急なステップをするには、移動するにも制動するにも足場が悪過ぎる。
さて、死銃こと赤目のザザの場合、こういった状況にもなると、ほぼ必ず迎撃する方を選ぶ。
それは単純に、彼がエストックを使う際の自分の実力に絶対的な自信を持って居るからだ。あの体制から繰り出される技は、身体の使い方を見るに十中八九“突き”であろうと言うことは、彼も予想出来ていた。
そして突き技は本来、エストックが最も得意とする所。ザザとしても、その技で負けるのはプライドの高い彼には絶対的に容認出来ない技でもあった。だからこそ彼は……“全力で後ろに跳んだ”
確かに、負けたくはない。しかし相手の女……アイリが、妙なプライドや無駄な我執の為の動きで倒せる程甘い相手でない事は、癪ではあったが既にザザも理解していた。
故に、此処は安全策としてバックステップを行った。もし彼女が自分が突きを返してくる事を予想して突進してきたのだとしたら、距離をとられた今、彼女は一度立ち止まるないし再び距離を取ろうとするはずだ。
「……!」
ザザのこの読みに対してアイリはと言うと、一度驚いたように大きく目を見開く。そして……唇の端で、悪戯っぽく微笑んだ。
小さな体は、自身の身体に制動をかけることは無かった。それどころか一片の迷いもなく、その身体は加速する。
「っ!?」
ザザは考える。此方が距離を取ったのを見て加速した……!?いや、それは有り得ない。ならば此方が下がった時にほんの少しでも迷い、それによって動きが鈍るはずだ。そんなそぶりは一切無かった。だとしたら……
「……!」
ようやく、気付いた。
読まれていた。
一度警戒する事は既に此奴に読まれていたのだ。だからこそ初めから加速するつもりだった彼女は思考によるラグを一切作らずに突撃して来ている。
そしてそれを理解してしまった事に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ