第181話
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うにも見えた。
首はなく、胸に直接固定された『頭部』が回転している。
手には不格好なほど銃身の太い特殊な銃器が握られている。
戦車の砲身を強引に短く切り詰めたような銃は大型のライフルにも見えるが、厳密には違う。
それはリボルバー方式の対障壁用ショットガンだ。
この銃器に使われる弾丸は特殊なもので、たった一つの外殻の中へ、俗にアンチマテリアルと分類される弾丸を数十発詰め込んでいる。
一発一発が戦車を撃ち抜くほどの破壊力を秘め、近距離から数発撃ち込めば核シェルターの扉であってもこじ開ける。
敵が籠城するシェルターの分厚い出入り口を真正面から打ち破って蹂躙する為に開発された大型銃器を、数十の駆動鎧は一斉に銃口を市民に向ける。
『敵勢力を発見』
短く無機質のような声が聞こえ。
ゴン!!、という音と同時にショットガンから聞こえ、市民が簡単に薙ぎ倒れた。
本来、対障壁用のショットガンの実弾を受ければ、人間なんて一発で藻屑になる。
だが、市民が人の形を留めて、あまつさえ息をしているのはそれが空砲だからだ。
リボルバーの回転シリンダー内で偶数発と奇数発で扱う弾の種類を分けていて、二発ずつ回転させたりしているのだ。
仲間が空砲とはいえ簡単に吹き飛ばされ、気絶するのを見てその場にいた全員が青い顔をし、無意識に全身が震えていた。
実弾ではないとはいえ、ショットガンの銃口を突きつけられれば普通は脅えるに決まっている。
四人くらいは仲間が倒されたのを見て、手に持っている鉄パイプなどで殴りにかかるが、駆動鎧は冷静に空砲を撃ち込み、鎮静化させていく。
完全に怯え、抵抗の意を見せない市民には何もせず素通りし、抵抗の意を見せる者には容赦なく空砲を与える。
そこに先程の暴動の影は消え、一方的な蹂躙だ。
麻生は『顔の無い王』で姿を消している。
これは魔力の感知やサーモグラフィーでも発見する事はできない。
つまり、このまま素通りして教皇庁宮殿に目指せるのだが。
小さく舌打ちをして、『顔の無い王』を外し、能力で一気に駆動鎧に近づく。
拳を作り、駆動鎧の『顔』に向かって突き出す。
横からの奇襲に反応できなかった駆動鎧は、住宅街方面に吹き飛ぶ。
衝撃音と駆動鎧が吹き飛ばされたのを見て、他の駆動鎧の視線が一気に麻生に向けられる。
助けられた市民は麻生の顔を覚えているのか、呆然と麻生の顔を見つめている。
「ど、どうして・・・」
助けたのか疑問に思ったのだろう。
自分達は麻生達を殺そうとしたのだ、彼が助ける理由は見当たらない。
言葉を聞いて面倒くさそうな顔をしながら。
「気に喰わなかったから
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