ALO編
episode5 旅路、影妖精領3
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、気付くことが出来る。恐らく昼間に俺の行商を見て、そのアイテムの品揃えに目が眩んだ馬鹿共だろう。数人が「バカ外すなよ!」だの「逃がすなよ!」だのわめいている。
うむ、PK野郎ではあるがそれほどの熟練者でもないようだ。こうしてみるとプーカ領で俺が毎日のように相手をしていたナントカというPKギルドの連中はそこそこに強かったんだな。このALOでの、攻撃性能も高まった俺ならこのレベルの雑魚、何人来ようが苦も無く撃退できる。
ちなみにそれも、普通ならば、だ。
こっちにも悲しいこと、問題がある。
「ここはスプリガン領内だ、向こうの攻撃は通らねえ、一気に行くぞ!」
相手の種族の領内では、俺のダメージは一切通らないということか。
(……ま、しゃーないか)
溜め息をつく。倒せないなら仕方がない。
俺は一つ、溜め息をついて。
「ってオイ、逃げんなコラ、待てやぁー!」
全力で遺跡ダンジョンの中へと逃走を開始した。
◆
ダンジョン、『古代獣の封印迷宮』に潜って、一時間ほど。
辿り着いたの地下三階層、その薄暗い通路の中。
遺跡中に轟くような、地を這いずる咆哮が通路と俺の体を震わせた。
「オイオイ誰だ情報サイトに「巨大モンスターのポップはなく、ソロプレイの特訓に最適なダンジョンです」なんて書きこんだ奴!!!? コイツどう見ても巨大ボス、もしかすりゃあ邪神級Mobじゃねえのかコレ!!!?」
悲鳴を上げて、遺跡の狭い通路を疾走する。
人一人が走るのが精一杯のスペース(それもそこかしこに転がる遺跡の残骸を巧みにかわす事が出来れば、の話だが)を駆け抜けながら、ちらりと背後を見やる。と、再びの咆哮。「グルルルル」と「ギャアアア」を足し合わせて更に二倍した感じの絶叫を上げて襲いかかってくるその影は。
「蛇か? ミミズか? それとあれか、巷で流行りの触手ってヤツかあ!?」
残念だが俺にそっちの趣味は無いし、たとえあったとしても俺自身がその餌食になるのはごめんだ。すさじい勢いで這って俺を追いかけるその巨体が掩蔽物に直撃するたびに、情けないほど僅かな量敵のHPが減少していく。猛烈に追いすがる化け物に肉弾戦を挑むなんてことができるはずもなく、現状俺に出来る攻撃はこれだけだ。
……これで、削りきれと。
「畜生、先はなげえなクソっ!!!」
SAO世界とは違って、ALOでは膨大なHP総量を持つ擲Mobは、HPゲージの表示が段組みになって表示される。このデカブツならぬナガブツMob、その段数はなんと三つだ。普段は一つの依頼に時間はかけずにサクッと終わらせ、複数の依頼を受けてまわるつもりなのだが、どうやら今日はそうもいかないらしい。
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