エンディング3・彼女の手記
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も色々と役立つ知識を教えてもらったって懐かしそうに言われたわ……。
……いろんな所に彼は置き土産をしていったんだね。
あたしだって、あの時、彼に習っていなかったら未だに読み書きも出来なかったろうしね……。
この手記を書くための旅の出発地で終着地、ダーナに戻って来た。
三年とか五年周期であの紛争の慰霊やダーナにとっては勝利を祝う式典が行われるのだけどその席で二人は出会った。
初めはフゥノスのほうが一目ぼれだったみたいだけど、今ではクルト王のほうがぞっこんで、居を変えるのを嫌がる彼女のわがままにも不満が無いみたい。
四十近く違うものだしレイミアはもちろん、あたしだって反対した。
「母さまだって十五も年下の父様と一緒になったのに、私は認めないなんて身勝手過ぎます!」
「それにしたって離れすぎだよ! だいいちミュアハとアタシの歳の差は十四なんだし! それに正確に言うなら十三年と十一ヶ月だからね!」
「それなら私だって………三十八年と九ヶ月しか違わないもの!」
「アー、もう。 シルヴィアからも言っとくれよ!」
「そうよ、フゥノス。 陛下はたしかにお歳に比べ若々しいけど……人の身である以上、あなたを残して先に逝かれるのはわかりきっているのだから……」
あたしがこう言った時の彼女の表情は今でも忘れられない。
だって、彼に言い負かされる時と同じなんだもん………。
「母様、それにママ姉、父様は母様よりもずっと年下だったのに先に天国に行かれたでしょう? だからその理屈は通用しません!」
「……っとにこの子は! 誰に似た! じゃ無いよ……あいつそっくりで……」
レイミアはそう言うと泣き出してしまい、あたしも貰い泣きしてしまった。
泣き出したあたしたちにフゥノスはごめんなさいって謝って、三人で泣き続けた。
……小さい頃レイミアのことは母様、あたしのことはママって呼ばせていたせいでママ姉なんて変な呼ばれ方であたしは彼女に呼ばれている。
結局、彼女にはあたしもレイミアも弱いものだから黙認することにしたんだ………。
彼の遺したものを求める旅にはこれで一区切り。
でも、また行くつもりです。
時が経てば、また違った物の見え方だってするのだし!
この旅で集めた沢山の人達からいただいた証言や資料をもとにして、彼、『ミュアハ』の出来るだけ正確な記録を記し、後世に伝えたいと思います。
この手記はあたしの、その決意表明文です。
グラン歴773年 記 シルヴィア・ブラギ・エッダ
--Fin--
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