エンディング3・彼女の手記
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唯一生き残っていた姫様を娶りたいと強要してきたレイドリック公爵だったけど、王妃さまが色々と理由を付けて認めないものだから実力行使に及んだので逃がれて来たと仰いました。
姫さまは逃亡中に亡くなってしまわれ、コノート王国は正統な継承者が居ないことになり、トラキア半島は一気に戦争と政争のただなかに進んでいったのを今でも覚えてる。
北トラキア諸国の会議は何回も開かれ、コノートの代表としてレイドリックと……おなかが大きくなってきた王妃さまとの間で議論の応酬が何度と無く行われたと耳にしてる。
……王妃さまを保護してきたのはベオだし、のちに太后となられた王妃さまの愛人にしてコノート国軍の総司令にベオがなったものだから、コノートのフェルグス王のことをベオウルフと王妃さまの子であると主張する人たちがいるのは理解できます。
でも、王妃様はカール王との間の子だと仰るのであたしはそれを否定する気はありません。
そんな中、ミーズ城を巡る小競り合いが起き、それに端を発して戦争が起きてしまった。
コノート王国継承戦争って呼ばれるこの戦で、レイドリックは敗れ、コノートは王妃様が国を離れてからお産みになった、今のフェルグス王が継承されている。
そしてトラキア王国が北トラキア連合に加わることになり、トラキア半島全体がゆるやかな共同体を形成した。
歴史の年表ではこれだけで終わってしまうことだけれど、その当事者となっていたあたし達にとってはそんな物では済まされない日々でした………。
先述の通り、ベオはコノート王家に仕えることになり……そして、あたしたちレイミア隊はカパドキア城とルテキア城を奪い取った。
戦後の諸国会議の結果、ルテキア城は返還したけどレイミアは前トラキア王の娘であることを主張してカパドキア城とその周辺領を勝ち取った。
単一政体でのトラキア半島の統一こそ実現しなかったものの、彼やトラバント王が目指した"豊かな北の食糧生産によって養われた労働力で南の鉱山資源の開発推進"は順調に進んでいる。
トラバント王は"不撓不屈"と言われ、支配下の地域ではとても人気が高い。
……でも、この人の治めるトラキアの人達からいろいろと話を聞くまでは彼を奪った諸悪の根源とさえ思い、憎み、恨んでさえいた。
ううん、今でもそうだと思うけど、時間の経過がまた違う思いを抱かせた。
この人から見た彼の話を聞いてみたいって……。
ほろ苦い表情を浮かべて語るこの人は、レイミアが言うような偏狭な人物では無かった。
先入観が逆のバイアスになって、この人を必要以上に評価してしまったかも知れないけど……。
それか、彼を手にかけた者なら極悪人、あるいは状況が許さずやむなくそういう道を選んだ人であるって思いたかったからなのかも知れない……。
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