エンディング1・冥府
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ついて頑張っている多くの人を巻き込むのは間違っている。
……奴の哄笑は、そんな気持ですらなく大願を成就できなかったことへの自嘲へのものなのか、それとも俺やアルヴィスをただ嘲けてのものなのか……
不思議と飢えも渇きも感じず俺たちは歩みを進めて行く。
前方はマンフロイの先にもずっと人の列が見える。
そうなると気になるのは後方だけれど、どんなに頑張っても振り返ることが出来はしなかった。
持て余した時間をアルヴィス卿と語らった。
彼と一対一で話す機会は生きている間には得られなかったのに、こうして何も出来なくなってから設けることが出来たというのは何とも皮肉な話としか言えない。
「……ダーナ攻めの真相は魔将というものに変えられてしまい奴に意思を奪われたからなのでしょうか?」
「…………差別の無い、より良い世界を作る為協力して欲しい。 たとえロプトの血を引こうと、その生まれでは無く、行いのみで評価されるようなそんな世界を。 ………クルト王子から、そう内々に申し出があった時に、腸が煮えくり返る思いをしたものだ」
「公が目指していたものと同じでは?」
「なればこそ、自らの手で成し遂げねばと……な。 それを……母も父も奪ったあの方から……いや、言うまい」
「口にすることで御心を安んずることもございましょう。 ご遠慮召さるな」
「うむ……」
アルヴィスと俺は他に何かが出来るわけでなし、とりとめもなく語り続けた。
弟のこと、新婚の俺を死なせてしまったこと、多くの兵を死なせたこと……彼は悔いていた。
俺とてあなたの息子、サイアスどのから父を奪ってしまったし多くの兵を死なせた。
お互いにそう言いあい、もっと早くに胸襟を開いて話し合えたらもっと良かったと……
だが、少なくともロプトウスの復活は阻止出来た。
それは誇ってもいいと彼は言ってくれた………
まだ見ぬ妹のディアドラと会っては見たかったとひとりごちた彼に
「わたしはクロード様と意を通じております」
「……そのようだな」
「なればバルキリーの杖で、わたしもあなた様も黄泉返ることも叶うかと。 希望を持ちましょう」
「……貴公は、うん、生き返るべきだな。 だが、私はそうあってはならない」
「何をおっしゃる。 公はマンフロイに脅され、邪な魔道で操られていたこと、わたしもイザークの国王も王子も存じてますし、戦後処理の会議でもあれば証言いたしますぞ!」
「いや……そうでは無いのだよ。 ……あの戦で多くの者が命を落としたが、その全員を生き返らせることが出来るのならまだしも、そうではあるまい?」
確かにその通りで、何も言い返せない俺がいた。
たしかに一兵卒に至るまで全て生き返ることが出来
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