第五十九話
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、 そして、眺めている占い師!、望みのものを奪ったぞ!」
「何を言っている、貴様……」
俺の意味不明な言動と、神槍を奪われたことに奴は狼狽していた。
凄まじく重いこの槍に、俺の肩は脱臼でもするのでは無いかと思った。
……なんの前触れも無く現れた彼女は恭しい仕草で槍を受け取ると俺だけに聞こえるよう念話で契約の履行を告げ、空間へ溶け込むように姿を消した。
「ばっ! バカな! 今のは何のまやかしぞ!」
「俺の勝ちだ、トラバント……」
「オレの神槍を何処へ遣った!」
気力も体力も尽きる寸前の俺には大剣も槍も振るえそうも無かったので、かつてドリアス伯爵から贈られ、幾度と無く俺の力となってくれた剣を腰から引き抜いた。
トラバントはまだ狼狽しているが……同じように腰から剣を引き抜いたが………あれは!
「斬鉄の剣!」
「ご名答……まずは貴様を殺す」
「そう上手く行くと思うな! お前はいままで何度も俺を殺すと言っておきながら、俺はこうして生きている!」
「黙れ!」
隻腕の奴の一撃は重くは無い。
だが、俺は傷付き、疲れ、片足はもう力が入らない。
一撃を受け止めた後、神槍に貫かれた腿の傷を奴に蹴られ、痛みに気が遠くなった。
そのまま鳩尾のあたりを凄まじい痛みが……斬鉄の剣に貫かれていた。
トドメの一撃が振るわれ、必死になんとかしようとしたが思うように体が動かない。
このまま死ぬのかと意識が遠のいて行った……
響く金属と金属がぶつかり合って弾かれる【大楯】の音によって意識は取り戻され、俺は夢中で剣を振った。
手ごたえと共に……絶叫を上げる奴は、顔面の左側を押さえ転げ回っていた。
意識が遠のく中呼びかけられる声に、俺のことには縛られずレイミアには幸せを探してくれと何度も何度も答え続けた…………
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