暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
ルグルー回廊
[5/6]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
った。
自分でやっといてなんだが、胸の谷間に挟まったままの体勢だから恐ろしくシュールだ。
「リーファねーちゃん、本当に無理な事なんてこの世にはないんだよ。ただそれをやるか、やらないか。それだけなんだと思うよ」
ハッとした。リーファは虚を突かれたように黙り込んだ。
本当に無理な事。
それは、リーファ、桐ヶ谷直葉が戸籍上の兄に持っている感情も、成就することはあるのだろうか。
一瞬そんなことを脳裏で思い浮かべてしまって、リーファはレンが膜の外に勢いよく飛び出すのを止められなかった。
レンは勢いよく窪みから飛び出し、足元の砂利を弾き飛ばしながら制動をかける。自動的に隠蔽魔法が解除され、キリトが戸惑い顔で体を起こす。
「お、おい。どうしたんだよ」
「ごめんキリト君、結構大きな戦闘になるかもしれない。覚悟だけしといて!」
それだけを言い、リーファは正面に視線を戻した。
洞窟の奥。たった今自分達が通ってきたそこは、まったく先の見えない闇がねっとりとわだかまっている。
いや、その奥からひらり、ひらり、と小さな赤い影がこちらに向かって飛んでくるのが見えた。
「あれよ!」
リーファが思わず叫ぶと同時に、こうもりの形をしたトレーサーは音もなく分断されていた。
音のない悲鳴を撒き散らしつつ、赤い炎に包まれて消滅するそれを視界の端で捕らえながら、レンとリーファ、カグラは身を翻して駆け出した。
何も解かっていないキリトだけが数瞬遅れて、慌ててスタートする。
「街まで走るよ、キリト君!」
「え………また隠れるのはダメなのか?」
「トレーサーを潰したのは、相手にはもう知られていることです。どの道こんな狭い箇所での大規模戦闘は避けるべきかと」
「それにさっきも言ったけど、追ってきてるのはサラマンダー。平和に解決って訳にも行かないでしょ!」
大声で言い合いしている最中にも、ガシャガシャという金属音の混じった足音は大きくなっていく。リーファがもう一度ちらりと振り返ると、彼方の暗闇にちらりと赤いものが見えた。
「………チィッ!」
舌打ちをしながらレンが勢いよく反転し、一度だけ腕を振るった。
次の瞬間、轟音が耳をつんざいて響き渡る。
洞窟の天井が軽く崩壊し、優に人の頭ほどもある岩が次々と降り注いでくる。
それを見ながら、リーファは追われる身である事も忘れて眼を見開いた。
基本的にALO、いや全てのVRMMORPGの物的オブジェクトのほとんどは個々によって様々であるが、耐久値が存在している。つまり、壊せるということだ。
どんなに大きな岩であろうとも、毎日耐久度を削っていれば、いつかは瓦解する。しかし、そんなオブジェクトの中でも壊せないも
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ