暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
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った。

自分でやっといてなんだが、胸の谷間に挟まったままの体勢だから恐ろしくシュールだ。

「リーファねーちゃん、本当に無理な事なんてこの世にはないんだよ。ただそれをやるか、やらないか。それだけなんだと思うよ」

ハッとした。リーファは虚を突かれたように黙り込んだ。

本当に無理な事。

それは、リーファ、桐ヶ谷直葉が戸籍上の兄に持っている感情も、成就することはあるのだろうか。

一瞬そんなことを脳裏で思い浮かべてしまって、リーファはレンが膜の外に勢いよく飛び出すのを止められなかった。

レンは勢いよく窪みから飛び出し、足元の砂利を弾き飛ばしながら制動をかける。自動的に隠蔽魔法が解除され、キリトが戸惑い顔で体を起こす。

「お、おい。どうしたんだよ」

「ごめんキリト君、結構大きな戦闘になるかもしれない。覚悟だけしといて!」

それだけを言い、リーファは正面に視線を戻した。

洞窟の奥。たった今自分達が通ってきたそこは、まったく先の見えない闇がねっとりとわだかまっている。

いや、その奥からひらり、ひらり、と小さな赤い影がこちらに向かって飛んでくるのが見えた。

「あれよ!」

リーファが思わず叫ぶと同時に、こうもりの形をしたトレーサーは音もなく分断されていた。

音のない悲鳴を撒き散らしつつ、赤い炎に包まれて消滅するそれを視界の端で捕らえながら、レンとリーファ、カグラは身を翻して駆け出した。

何も解かっていないキリトだけが数瞬遅れて、慌ててスタートする。

「街まで走るよ、キリト君!」

「え………また隠れるのはダメなのか?」

「トレーサーを潰したのは、相手にはもう知られていることです。どの道こんな狭い箇所での大規模戦闘は避けるべきかと」

「それにさっきも言ったけど、追ってきてるのはサラマンダー。平和に解決って訳にも行かないでしょ!」

大声で言い合いしている最中にも、ガシャガシャという金属音の混じった足音は大きくなっていく。リーファがもう一度ちらりと振り返ると、彼方の暗闇にちらりと赤いものが見えた。

「………チィッ!」

舌打ちをしながらレンが勢いよく反転し、一度だけ腕を振るった。

次の瞬間、轟音が耳をつんざいて響き渡る。

洞窟の天井が軽く崩壊し、優に人の頭ほどもある岩が次々と降り注いでくる。

それを見ながら、リーファは追われる身である事も忘れて眼を見開いた。

基本的にALO、いや全てのVRMMORPGの物的オブジェクトのほとんどは個々によって様々であるが、耐久値が存在している。つまり、壊せるということだ。

どんなに大きな岩であろうとも、毎日耐久度を削っていれば、いつかは瓦解する。しかし、そんなオブジェクトの中でも壊せないも
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