暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
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〜妖精郷と魔法の歌劇〜
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耳と尻尾を持つ種族ケットシーはモンスターや動物を飼い馴らすスキル《テイミング》が得意で、テイムした騎乗動物を昔からシルフ領に提供してきた縁があるため、シルフとは伝統的に仲が良い。領主同士の関係も良好で、近いうちに正式に同盟を結ぶという噂もある。
リーファにも親しいケットシーの友人が何人かいるために、今回のアルン行きも北回りルートを取ろうかと考えたが、キリトが急ぐ様子だったので山越えを選んだ。
地下深く潜るのは正直不安もあったけれど、この調子ならばさして問題もなく突破できそうだった。
そう言えば、レンの武器については結局のところ訊く機会がなかった。ライトエフェクトが出ないところから考えても、魔法ではないとは推測できるのだが。
まるで、それこそ魔法のように敵が頭の天辺から真っ二つになるのだ。これを現状で公開されている武器で説明するのは、少々どころかかなり問題がある。
それに、疑問点といえばクーのこともある。
ケットシーの少年のテイムモンスターである巨大な黒狼。その姿は一行が、ローテアウトのために地面に降りた時にも姿を現すことはなかった。レンは「少し遅れてくるだけだよ」とか言っていたが、それはありえないと彼自身の口から聞かされたのだ。
テイムされたモンスターなり動物なりは、テイムしたプレイヤー自身が飛行したとしてもその絶対座標から離れることはない、と。
その言葉に嘘はないのだろう。紅衣の少年には、リーファにそんな嘘をつく理由が見当たらない。
彼は言ったのだ。絶対に離れることはない、と。しかしそれは、裏を返せば命令がない場合に限ってのことだと思う。
要するにマスターたるプレイヤーによって、何らかの命が与えられていたら、前述のことは簡単に覆されると言うことである。
別にその命が何かという事をレン自身に聞くまではしないが、気にならないと言えば正直嘘になる。単なる物運びなどのお使い程度だったりするかもしれないが、リーファにとってこのレンという少年のことはいまだに謎が多い。
武器のこともあるし、何よりここまでのてだれが交流の多いケットシー領の中にいるということなど聞いたことがない。
闇妖精
(
インプ
)
であるカグラを連れているという事から
脱領者
(
レネゲイド
)
なのだろうか…………?
スペルワードに悪戦苦闘し続けているキリトの隣を歩きながら、リーファはぼんやりと取り留めのない思考に身を任せていた。
普段なら中立地帯で物思いにふけるなど自殺行為だが、この旅に限ってはユイが恐るべき精度でモンスターの接近を予告し、それが聴覚を震わせる前にレンの謎の攻撃が敵を真っ二つにするので心配は全くない。
更に数分が経過し、いよいよ地底湖が間近に迫りつつあったその時、リーファの意識を呼び覚ましたのはユイの警
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