第二幕その一
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「それはもう知っている」
何を今更といった言葉だった。
「そしてどうしたのだ」
「厚かましく夫を辱めるその破廉恥な行いと罰すると」
フリッカは言うのである。
「私は彼に強く約束しました」
「春が愛を以って結びつけた二人が何をしたというのだ」
己の左斜め後ろに来た妻に対して告げた。
「愛の魔力が二人を魅了した。愛の力がしたことを誰が私に償うのだ」
「よくもそんなことが言えますね」
今の夫の言葉にきっとした顔になった。
「夫婦の聖なる誓いが破られたこの私の嘆きは」
「どうしたというのだ」
「御存知なにのですか」
「愛なくして結ばれたことではないか」
ヴォータンはフンディングとジークリンデの仲をこう言い捨てた。
「それでどうだというのだ」
「どうだと?」
「わしはそれを神聖だとは思わない」
しれっとして言ってみせる。
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