第一幕その一
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ますと」
「この辺りを収める領主です」
それだというのである。
「あの人は貴方をお客として出迎えるでしょう。ですから」
「ですから」
「もう少しお待ち下さい」
また彼に告げたのだった。
「もう暫くの間」
「私は剣を失った」
見ればその通りだった。彼は剣も何も持っていない。ヘルメットでさえもだ。
「そのうえ傷ついている私を貴方の夫は迎えてくれるのですね」
「傷は深いのですか?」
「いえ」
それは首を横に振って否定する。身体は起き上がっており己の前に座す女と向かい合いそのうえで話をしている。
「ですが楯も槍も剣も失ってしまいました」
「全てをですか」
「はい。敵の犬達に駆り立てられ嵐が私の身体を地に叩きつけ」
「今の吹雪の中を進んで来られたのですね」
「そうです」
若者はあらためて述べた。
「ですが」
「ですが?」
「私が敵から逃れるよりも早く疲れはこの身から逃れ私の目を覆っていた夜は去り」
こう言うのだった。
「新しい太陽が笑いかけてくれています」
「そうなのですか」
「はい、あの水のおかげで」
「それではです」
女は彼の言葉を受けてさらに言うのだった。
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