暁 〜小説投稿サイト〜
トーゴの異世界無双
第七十八話 これは目が離せねえ展開だな
[3/3]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
くはこの状況が続くと思われますね」
「ええ、誰かが動いたら、それが引き金になって一気に場が動きます」
「場がどう動くのでしょうか?」
「もちろん、先に動いた者は注目を浴びることになるでしょう。下手をすれば全員からターゲットにされる恐れさえあります」
「ふむふむ。ということは迂闊(うかつ)には動けませんね」
「ええ、実力者であればあるほど、場を見る力が養われています。この場で動くことの重要さは、彼らなら判断できるでしょう」


 闘悟はそんな二人のやり取りを聞いていて正しいと思っていた。
 いきなりこんな状況になったのは少し意外だったが、彼女らの言う通り、皆が力を溜めている状態だ。
 何かのきっかけでそれが一気に解放される可能性は十分に高い。
 それに、先に動く危険性も含んでいるのだ。
 ミラニが先に動けば、まず間違いなく標的にされる。


 気をつけろよミラニ……有名人はその的になりやすいからな。
 闘悟の懸念(けねん)はそれに尽きる。
 まず最初に強者であるミラニを倒せば、対戦が楽になる。
 全員が一丸となれば、ミラニでも厳しいだろう。
 だが、見た所チームを組んでいそうな者は見当たらない。
 それが唯一の救いになるかもしれない。
 統率されたチーム戦略は、容易に単騎(たんき)を捻(ひね)り潰す強さを持っている。
 今回は恐らく皆がソロなので、そんな戦略は無い。
 だがそれでも、有名人にとって危険な立場なのは違いない。
 場が動き、時間が経てば必ず強者が集中して警戒される。


 ミラニは背中にうっすらと汗を掻いていた。
 気温自体はそれほど高くは無いが、三十人が互いの隙を睨んでいる最中は、かなりの熱気を生んでいる。
 この均衡(きんこう)状態は、異様な空気の中にいるせいか精神力が削られる。
 これに耐えきれず、誰が先に行動を起こすか。
 ミラニは周囲に視線を送る。
 そこでふと思い浮かんだ顔があった。
 それは闘悟の顔だ。
 あの男だったら、こんな状況の時どうするだろうか……?


[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ