第五章
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後
「それだけで生きていることにはならないんだよ」
「人に想われてですか」
「生きるってことなんですね」
「あんた達は大切な人が死んで思ってるね」
「はい、悲しいです」
「私もそう思っています」
「それが生きているってことなんだよ」
思われている、このことがだというのだ。
「人に思われることが」
「それが生きていることですか」
「私はそう考えているよ」
住職さんの考えも話してくれた。
「生きていることはね」
「生きている時も死んでいる時も他の人に思ってもらえる」
「それが生きていることですか」
「そうだよ、あんた達の大切な人達は生きているよ」
私達が思っているから、だからだというのだ。
「それでいい生き方をその大切な人達にあげたいのなら」
「それならですね」
「その人達のことを」
「悲しまずによく思うことだよ」
このことが大事だというのだ。
「そう思っていてね」
「はい、わかりました」
「それなら」
私達は住職さんの言葉に頷いた、そしてだった。
住職さんからお茶と和菓子を御馳走になってお寺を後にした、それから二人で街の道を歩きながら話をした。
私は彼女にだ、こう行った。
「これからはね」
「そうよね、これからはね」
「私お祖父ちゃんに楽しく生きてもらいたいから」
「私も。お姉ちゃんにね」
二人で話した、それぞれ生きている人達のことを思いながら。
「楽しい思い出を思い出そう」
「そうしないと駄目よね」
「思われてることが生きていることなら」
それならだった、私は隣にいる彼女に話した。
「楽しい思い出を思い出してね」
「そうしたらいいわね」
「ええ、私お祖父ちゃんにいつも優しくしてもらったから」
「私もお姉ちゃんにね」
「だからね、そのことをいつも思い出そう」
「それがいいわよね」
「そうよね」
二人で話した、そしてだった。
私達は決めた、難しいことかも知れないけれど。
「楽しく生きてもらおうね」
「楽しかったことを思い出してね」
それが生きるということならだった、そうしようと決めた。
私達は生きるということは思われることだと教えてもらった、それなら楽しく思うことにした。そうしてだった。
今度は彼女の方からだ、こう私に言って来た。
「ねえ、今からね」
「今からって?」
「そう、何処か行かない?」
優しい微笑みで私に言って来た。
「喫茶店にでもね」
「喫茶店ね」
「そうそう、今思い出したけれど」
話しているうちにそうなったというのだ。
「この近くにお姉ちゃんに教えてもらったお店があるのよ」
「どんなお店なの?」
「マジックっていって。ダークブラウンの木造のお店でね」
まずは外観からだった、店の。
「イギリス風の
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ