暁 〜小説投稿サイト〜
ちょっと違うZEROの使い魔の世界で貴族?生活します
本編
第21話 そうだ、王都へ行こう
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私は大きく頷きます。そして、更に言葉を続けました。

「加えて王都の平民層に、炭を認知させたいと思っています。炭を使って物を焼いた場合、炎が出ない事・余計な水分が出ない事・食材に火が通りやすい事。この三点の理由により、薪よりも簡単に美味しく焼き上げる事が出来ます」

 スカロンさんが驚いた顔をしています。

「炭焼きは簡単であるが故に奥が深く、東方では煮炊き三年、焼き一生という言葉も有る位です」

 私の言葉に、スカロンさんが笑みを浮かべます。

「この“炭火焼きを前面に押し出した料理”を出してくれる店を、探していたのです。当然下手な店に任せて失敗し、炭のイメージダウンにつながる事は避けたいです」

「炭の宣伝塔は、この魅惑の妖精亭に是非任せて欲しいわ」

 スカロンさんが、間髪いれずに答えました。私はその言葉に、首を横に振りました。ジェシカが「なんで!!」と、声を上げました。

「メニュー三点しかない、“今の魅惑の妖精亭”ではお任せ出来ません」

 私の言葉に、ジェシカが黙ってしまします。しかしスカロンさんは、自信がうかがえる表情をしました。

「つまり昨日のメニューと、同等のクオリティの料理を作れば良いのね? 何品作れば良いの?」

「メニューの数は関係ありません」

 私の答えに、スカロンさんの顔が驚きに歪みました。

「ど 如何言う事かしら?」

「味・ボリューム・見た目・値段。昨日の料理は、それら全て合格点です。メニューの数も、昨日の話ではすぐに増えるでしょう。問題は炭を上手く扱えるかと、炭を生かすメニューが出来るかです。来月(ウルの月)中に私達を満足させる、炭火焼きを売りにしたメニューを一品作ってください」

 スカロンさんは私の言葉に、力強く頷きました。私は持ってきた炭と木炭コンロを、スカロンさんに渡しました。



 いよいよ資料探しです。私は気合を入れて、父上の後について行きます。しかし父上は王宮に向かわず、貴族の別邸が集まる一画に足を向けました。

「父上?」

「ヴァリエール公爵に挨拶をしておこうと思ってな」

 確かに両家の関係を考えれば、ここで挨拶無しと言うのは良く無いのでしょう。私は大人しく父上の後に続きました。

 ヴァリエール公爵の別邸は、本邸と比べれば小さいですが周りの館と比べると群を抜いて大きいです。使用人に案内され、暫く待つとヴァリエール公爵が入室しました。

 父上に習い挨拶をすると、父上と公爵は雑談を始めました。私は長くなるのは勘弁と、内心で考えていました。すると父上が、今までより少し大きな声で言いました。

「公爵。申し訳ありません。年金の受け取りを忘れておりました。すぐに行って来ますので、その間ギルバートをお願い出来ます
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