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人狼と雷狼竜
誓いの言葉
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『ごめんなさい』
 梓の声に、二人は大人しく湯船に浸かる。
「全くもう……え〜と、ヴォルフ君のことだったかしら? そうねえ……自分を厳しく律していて気高い人だと思うわ」
「カッコイイ」
 梓が答えると、椿は簡潔に一言で答えた。
「確かにヴォルさんカッコイイですよね? 見た目異国の人なのに、ユクモの服が似合うのもまた良いと言うか……」
「そうですよね〜。ヴォルちゃんは顔立ちは女の子みたいですけど、キリッとしているというか凛としているというか、男らしいですよね〜」
「あれ? 何か話題がずれてない?」
「そうね……ヴォルフといえば剣ね」
 いつの間にか話題がずれてしまい、どうやって会話の中に入っていこうか迷う神無だったが、小冬はあっさりと話題の方向性を変えながら輪の中に入っていく。
「そうそうそれそれ! ヴォルさんの剣ってどうなの小冬ちゃん?」
 木葉が興味津々といった感じで尋ねて来る。
「そういえば……」
「木葉ちゃんだけですね……ヴォルちゃんの剣を見てないの」
「そうなんですよ夏空さん。正太郎さんがボッコされちゃった時も訓練の時も私は集会場で受付してましたから……それに最近の依頼なんてジャギィ退治か道中護衛か、山の倖の採集くらいしかありませんでしたし」
 木葉が溜息混じりに告げる。言外にヒマでしたと言っていた。意外に毒を吐く娘だな……と約二名を除いた全員が思った。
「ヴォルフ君の剣ねえ……はっきり言って……」
「見えない」
 梓が言おうとして事を椿が言う。
「見えないって? 速過ぎて?」
「そう。訓練の時はあからさまに手を抜いてたから見えた。でも、アイツが本気を出したら何が起こってるか分からないかも」
「ナルガクルガの時が正にそうだったわね……」
「ね〜」
 梓と椿が先日の戦いを思い出して、しみじみと答えた。
「ナルガクルガ……か。もっと奥の樹海地帯に住んでいるのに何でこの辺りに現れたんでしょうね……」
「多分ジンオウガね。霊峰から降りて来たせいでナルガクルガも移動する必要が出てきたんじゃない?」
 木葉の疑問に梓が仮説を立てる。
「でも、それだと何でジンオウガは霊峰を降りてきたんでしょうね?」
「それが問題なのよね……。霊峰に近付くには無理があるし……」
「また話題が変わっちゃった」
 木葉と梓のやり取りをみて椿がボソリと呟いた。
『……』
 その言葉で全員が無言になった。
「え、と……とにかく、皆でこの状況を何とかしないといけないのは確かよ」
「そうですよね〜。でもその為には強くならないといけませんし……」
「それでヴォル君に鍛えて貰うんだよ。いくらヴォル君でも一人じゃ絶対に無理だって事も分かってると思うし」
「そう。だから皆で力を合わせる」
「一人は弱くても皆でなら、戦える」

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