誓いの言葉
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」
「こっちの話だよ」
「?」
ヴォルフが首を傾げながら今度こそ浴室から出ていく。
「腹括ったつもりだったけどなぁ」
呟きながら全身から力を抜いて、浮力に身を任せて体を浮かべる。大きな風呂場……且つ他に誰もいない時にのみ出来る寛ぎ方だ。
「けど、却ってやる気出てきたぞ。俺もいつか……」
一方の女湯では……
「ふぅ〜良いお湯ですぅ〜」
「夏空、オバサン臭い」
「オバサンじゃないですぅ〜!」
「まぁまぁ、二人とも」
「よく喧嘩する元気があるわね……あんなにハードだったのは初めてかも……」
「うん。疲れた」
訓練を終えた五人は揃って旅館研修会場の女湯に浸かって、訓練の疲れを癒していた。
思いっきりリラックスする夏空、そんな夏空を見ていつもの挑発的な微笑みと共に女性の禁句を言う小冬、そんな二人を諫める困った顔の神無、疲れきったのか岩に力無く凭れる梓、普段と余り変わらない様子の椿……因みに眼鏡は外している。
「皆さん、訓練どうでした?」
一緒に入ると言って入ってきた受付嬢の木葉が、ヴォルフの訓練について尋ねて来た。受付嬢の制服にある帽子は取っており、今はショートボブの髪型の上に手拭いを乗せている。
「今日は訓練というよりは実力テストって感じかな?」
「明日から基礎訓練をやるとか言ってた」
「大変そうですけど、ちょっと楽しみです〜」
「慣れるまでがハードね……実戦に出て良いって言われるまでが遠いかも」
「ヴォルフさん厳しい」
今日一日の内容を思い出した神無が答えると、小冬が明日から始める事柄を告げ、夏空がそれに対する感想を言った。
梓と椿はこれからについて若干の不安はあるようだが、ハンターである意所は引けないのか、言葉とは裏腹にそれを乗り越えようとする気力の篭った目で答えた。
「成る程成る程〜。皆さんってヴォルさんはどんな人だと思いますか?」
「うえ!? 木葉ちゃん!?」
「優しい良い子ですよ〜」
質問の内容に動揺して慌てる神無だったが、夏空があっさりと答えた。
神無はそれに一瞬硬直したが、単に質問内容を聞き間違えたようだと理解し、軽く咳払いする。
「ヴォル君は……」
「野生人で食いしん坊で無口で変な奴」
「小冬!? ちょっと言い過ぎじゃ……」
小冬のあんまりな回答に神無は抗議する。
「否定できる?」
「少なくともヴォル君は変な人じゃないよぅ!」
「それ以外は肯定ね……」
「ううぅ〜」
悔しい! でも反論できない! な神無は小冬を睨みむのが精一杯だった。
「フフ、神無カワイイ。必死になってる」
「むきゃー!」
妹に頭を撫でられた神無は恥ずかしいやら悔しいやら……小冬と追いかけっこを始める。
「風呂場で暴れないの!」
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