蒼風の谷
スキなら
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カズヤが酒場で情報屋と会談していた頃、宿ではビミョーな空気が充満していた。
「むむぅ……。」
「ぬぬぅ……。」
偶然取れた少人数商人隊用の6人部屋で二人の少女が睨み合っていた。
それぞれ右手を握り締めて向かい合い、剣呑な雰囲気であった。
「準備はいいかしら?」
「ええ、何時でも。」
「じゃあ、行くわよ。」
二人はタメの体勢に入る。
そして、
「「最初はグー!ジャンケン、ポン!」」
拳から繰り出されたのはお互いパー。
「「あいこで、しょっ!」」
繰り出されたのはセリナがパー、エリザがグー。
「な、なぜですの……。」
「ヘヘーン。」
「しかし……!」
両者は再び拳をタメの姿勢に入る。
「「最初はグー!ジャンケン、ポン!」」
セリナはチョキ、エリザもチョキ。
その次はセリナはグー、エリザがパーであった。
「ふぅ…。」
「ぐぬぬ……。」
なぜ二人がジャンケンをしているのか。ことはベッドの問題であった。
ベッドが横に6台並んだ横長の部屋でそれぞれがシングルベッド。他の部屋は軒並みシングル一つの一人部屋。この宿にはこのような6人部屋がもう一つある。というような中途半端な宿なのだ。まあ、宿賃が安いからいいけど。
そこからだ。この二人はぜひともカズヤとベッドを共にしたい。それだけの思いから血を見ずに済むゲームで決めようとしたからだ。もちろんエリザはジャンケンを知らなかったがシンプルなルールであるため簡単に覚えることができた。
それからそれから二人の対戦は白熱し一進一退の攻防を繰り広げた。そして日が暮れかけてきたとき、それぞれ271勝258敗でこの一戦天下分け目の合戦なりということになって最終戦が始まろうとしていった。
「ぜぇはぁぜぇはぁ、い、いくわよ……。」
「はぁふぅはぁふぅ、え、ええ。いつでも……。」
「「最初はグー!ジャンケン、ポン!」」
両者ともパー。
「「あいこで、「ただいまー。」…!!」」
勝敗が決しようとしたとき件の人物が会談を終えて帰ってきた。
「お、おかえり。カズヤ…。」
「おつかれさまです、カズヤ様…。」
「ん?どうしたんだ?ずいぶん疲れているみたいだけど。」
「な、何でもないわよ?ねぇ、エリザさん?」
「え、ええ。そうですね、セリナさん。」
「ぅん?まあいいか。それよりメシにしようぜ。いい店を見つけた。」
手にしていた荷物を自身に割り当てたベッドに下ろす。
「疲れているなら後にするか?」
「大丈夫よ……。」
「あたくしも、大丈夫です……。」
「ん?」
宿を後にしてカズヤが見つけた『いい店』に入り軽い夕食を取った。
その後、宿にすぐ戻りカ
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