第五十八話
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に、彼ら自体は今の所ダーナには一切被害を与えた訳でもない。
だが、それを咎められる資格を得るには、まず、この場を勝ち残らねばならない。
「………わしは甘いな。 貴公に総大将を委ねたこと、間違い無かった」
「もったいないお言葉です………これより、向かって右、魔道騎士団の左翼に突撃をかける! 総員! 気合入れろ!」
叫んでからマナナン王を見やった俺は謹直な表情を作り、
「……申し遅れましたが、クルト王太子の性的嗜好はいたって健全です」
「なぬ?」
「美しいお嬢さんをお持ちなのですよ。 隠し子にする事情がおありなのですけれども!」
重装斧騎士団は押し寄せてくる魔道騎士団のど真ん中を押し通ろうとした。
旗印で友軍であると認めた魔道騎士団隊長の魔道騎士は、 友軍に火炎魔法を見舞うことなど考えに及ぶわけもなく、かと言って素直に道を開けて行軍速度を落とすという一瞬の判断も付かず手をこまねいていた。
思いもよらぬ事態に指示を出せずにいる間に重装斧騎士団が衝突し、中央に位置していた部隊は大混乱に陥り、それは隣接する別の部隊にも波及して行った。
敗残の重装斧騎士団の数は魔道騎士団の五分の一にも満たぬにも関わらず、ここまでの事態を引き起こしたのは、こちらにとっては僥倖と言うべきか。
中央部隊が混乱している間に、俺たちは魔道騎士団の左翼に襲い掛かった。
もともと敵側のそれぞれの騎士団とこちら側の軍勢の比は十対六程度であろうか。
それぞれの騎士団が五、こちらはイザーク軍が四とレイミア隊を中核としたダーナ守備隊と義勇兵で二と言ったところだ。
ただ、別働隊と弓箭隊、それに予備戦力はこの場には居ない。
こちらの兵力は敵の左翼のみを圧倒的に上回り、また、中央部隊の混乱に引きずられ態勢が万全では無い所を襲った為に組織的な反撃を受けずに押し込んで行った。
そんな中、たまらず反転して逃げて行く魔道騎士達は碌に狙点を定めず、振り向きざまに火球を投げつけるという戦法を採るためにやっかいであった。
しかし、左翼の正面から激突したあとすぐに、こちらの中段や後列は時計の反対回りに進撃し、半包囲の体制を築いていたのでそのような魔道騎士の進路を遮断し、補足することが出来、魔道騎士団の兵力は着実に削がれていった。
左翼が壊滅している間にようやく中央の部隊は態勢を建て直したが、左翼を狩った勢いそのままに俺たちは襲い掛かり、数量の差で押し潰して行った。
敵の右翼は直進後、方向転換を行ってから俺
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