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ファイアーエムブレム〜ユグドラル動乱時代に転生〜
第五十八話
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いた話のひとつも聞き及ばない」
「きゅ、急にどうした、そんな話を!」
「……もう十年以上の前になるのだろうか、アルヴィス卿はわずか十五の齢にして近衛団長に任じられ、異例中の異例の抜擢を行ったはクルト王太子であり………あの御仁(アルヴィス)は、眉目秀麗にして端麗。 ……わたしの言いたいことはわかるかな?」
「 『な、なんという無礼を!』『殿下への侮辱、許さぬぞ!』 」

 口々にわめき立つ彼らだが、現在の力関係を考慮する分別はまだ残っている。

「違うのだよ諸君、殿下を籠絡し、グランベル王室への不忠を図るのはアルヴィス卿のほうだぞ! 自らが(まつりごと)を専らとする為に他の公爵家が邪魔であるため……毒殺や暗殺では後日、必ず足が付くと見て、わかりにくい戦場で、そして自分の手を汚さぬ為に謂れの無い戦を仕掛け、敵軍にその役目を負わせようと…………漢気に溢れ、勇敢な諸君らのあるじだ、同じ六公爵家の一員としての信頼もあっただろう……それを裏切った! 二つの騎士団で突撃する約を違え、見捨て……いや、死地へと送ったのだよ!」
「だ、だが、しかし、貴様の言うことが正しいとは言い切れん!」
「ならば、アルヴィス卿に問いただしてみればいい、友軍たる、そして武器も持たない諸君らをもし、とどめることがあったなら、その時は魔道騎士団(ロートリッター)は諸君らを裏切ったとそう思えば良いのだしな!」
「そ……そうだな。 そうに違いない」
「よし、魔道騎士団(ロートリッター)の姿が見えてきたら諸君らは騎乗するといい。……諸君らをこんな目に遭わせたのはアルヴィスだ。裏切りが無ければ大陸最強の重装斧騎士団(グラオリッター)が一敗地にまみれるなどあるべからざることなのだからな!」






「ミュアハ王子、やりすぎではないか?」
「そうですね……わたしは死んだら地獄行き間違いなしでしょう」

 重装斧騎士団(グラオリッター)を前方に見やり、俺たちは駆け足で追いかけている。
 先ほどの扇動についてマナナン王は思うところがあるのだろう。
 信義を重んじ、実直な人物な彼は黙って見ていただけでも罪悪感があったに違いない。

「敵の兵にも産み、育てた家族が居り、互いに想いあう者が居るのは当然でしょう。 ですが、それは我々とて同様です。 何より彼らは炊事や治療などを任務とした補助兵では無く、正規の戦闘員です!」
「うむ………」
「陛下! これより該たるは無辜の民へ無差別に隕石(メティオ)落としを行い、皆殺しを計ろうとし、それを全てイザークの仕業に仕立て上げようとした者達ですぞ! 勝敗が決した後ならば助けましょう。なれど、今は勝たねばなりますまい!」

 一度降伏した重装斧騎士団(グラオリッター)をこんな形で利用するのは道義にもとることだ。
 それ
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