暁 〜小説投稿サイト〜
剣の丘に花は咲く 
第一章 土くれのフーケ
第五話 考察とフラグ
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ビルがドアの前に立つ士郎に気付くと、顔を若干伏せながら脇を通り過ぎようとする。

「運ぶのを手伝おう」

 だが、士郎の前を通り過ぎる前に、重そうな本を抱えたロングビルに向かって士郎は声をかけていた。

「い、いえ大丈夫です。気にしないでください。えっ、え〜とミスタ……」

 士郎に断りを入れながら名前を言おうとしているロングビルを見て、名前を告げていなかったことに気付いた士郎は笑いながら答えた。

「そう言えば自己紹介していなかった。失礼、衛宮士郎と言う」
「ミスタ・シロウ……。ええ、分かりました。あ、そう言えばなぜ私の名前を?」

 士郎の言葉に頷きながらも疑問の言葉を上げるロングビルに士郎は笑いかけた。

「コルベール先生がそう呼んでいたのを聞いていたんで……あ〜、もしかして違った?」

 その言葉に納得したロングビルは、首を振りながら答えた。

「いいえ、当たりです」

 士郎はそう笑いかけてきたロングビルに手を差し出した。

「どうやら向かう方向は同じようなんでね。女性が荷物を持っているというのに俺が手ぶらだと周りの視線が痛い。助けると思ってその本を持たせてくれないか」
「えっ?」

 そう言ってきた士郎に一瞬驚いた顔をしたロングビルだったが、すぐに小さくクスクスと笑うと、芝居掛かった様子で手に持った本を士郎に渡した。

「しょうがないですね。分かりました、ミスタ・シロウを助けるため断腸の思いでお渡しします。借り一つですよ、ちゃんと返してもらいますからね」

 士郎に本を渡したロングビルが、腰に両手を当てて悪戯っぽくそう言うと、士郎は手渡たされた本を片手で抱えると、もう片方の手を胸に当て、恭しく頭を下げた。

「必ずやお返し致しましょう」





 ―――しかし本当この男何者なんだい。初めて会った時、私を見たあの眼……私の全てを見抜こうとでも言うようなあの眼光。絶対に唯の平民じゃないのは間違いないが……それにあの体にあった傷……傭兵か?

 士郎に本を手渡したあと、士郎と一緒に歩き始めたロングビルは士郎と話しながら保健室で士郎の身体(裸)を見たときの事を思い出しポッと頬を染めた。

 ……ま、まあ。なんにせよ、只物ではないだろうね。

「そう言えばミスタ・シロウはミスタ・コルベールと一緒にいましたがどうしてですか?」
「ん? ああ、コルベール先生が本を大量に抱えているのを見てしまったんで、聞いてみたところ図書館に本を返しに行くところだと言うことだから、別に用事もなかったんで手伝っていただけさ」
「まあ、そうだったんですか、お優しいんですのね」

 ふーん、お人好しだね。といことは、さっきのアレも別段下心があったという理由ではないということ?

 ロ
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