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トーゴの異世界無双
第七十三話 第一回戦決着したぜ!
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 ヤーヴァスに声を掛けられ、意外そうに目を見開く彼らだが、睨(にら)みを利かせながら口を開く。


「俺は『角のある妖精(フェアリーホーン)』のロイだ」
「僕は『ヴェルーナ魔法学園』の第五学年『アンコンクェラブル』ルームリーダーのカンク・レイリントだ!」
「……私はヤーヴァスだ」


 三人は互いに視線を交わし距離を取る。
 そしてカッと目を見開いたロイが、すかさず間を詰めて、剣をそのままヤーヴァスに向けて投げる。
 その行為に少し意表をつかれる。


「むっ!」


 ヤーヴァスは飛んでくる剣をサッと避わす。
 だが、それを予期していたロイはニヤッと笑う。


「くらえっ! 『火の大矢(フレイムアロー)』っ!!!」


 大きな矢型の火がロイから放たれる。
 その大きさは普通の弓矢の十倍以上は超えている。
 ちなみに『火の矢(ファイアアロー)』の強力版である。
 複数の『火の矢(ファイアアロー)』を、一つに束ねて作る魔法である。
 ヤーヴァスは剣でそれを受ける。


「むぅっ!」


 チリチリと髪の毛が焦げる臭いが漂う。
 ロイがやったかと思った矢先、ヤーヴァスから声が届く。


「いい魔法だ。返すぞ」
「え?」


 ヤーヴァスは剣を力を込めて『火の大矢(フレイムアロー)』ごと押し返す。
 すると、逆に返された魔法はロイの足元に落ち爆発を起こし、彼を吹き飛ばす。
 地面に転がり意識を失う。


「……あと一人」


 そうしてカンクに視線をやり、眉を寄せる。
 カンクは驚くべき行動をしていたのだ。


「こ、これでどうだぁっ!!!」


 何とカンクの上空には大きな水の塊が浮かんでいた。


「『水暴の巨弾(アクアブレッド)』っっっ!!!」


 ヤーヴァスはその魔法を見て、ほんの少しだけ口角(こうかく)を上げる。
 そして剣を地面に刺し、一言だけ呟く。


「……答えよ」


 ドゴォォォォッ!!! 


「や、やりましたカンク選手! ロイ選手が攻めている間、彼はその時間を利用して詠唱を成功していたみたいです! 中級の水魔法をヤーヴァス選手にぶつけましたぁ! さあ、これで勝負は決まったのかぁ!」


 モアの実況に、周囲の者達は食い入るように着弾した場所を見つめる。


「あ、だ、大丈夫でしょうかヤーヴァスという方は……」


 クィルは不安そうにミラニを見つめる。
 彼の知り合いであるミラニを心配しているのかもしれない。
 だが、クィルの心配は無用のようで、ミラニは平然としている。


「彼があの程度でやられるわけはありません」
「そ、そうなのですか?」
「はい」


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