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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
ALO
〜妖精郷と魔法の歌劇〜
檻の中
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由はいるのか、と。

結局のところ、それなのだろう。彼の全行動の理由は。

人を助ける、たったそれだけのことであの少年は己の命さえも、簡単に投げ出す。

しかし、人を助けると言うことは簡単そうに見えて、結構難しい。

善人と悪人、その区別があまりにも曖昧だからだ。

よくテレビで見る、子供向けのヒーロー番組に出てくる悪人でも、何もしてないうちにヒーローにやられることもあるし、逆にヒーローは自分が壊した物の弁償さえしていない。

傍目から見たら、悪人が悪だと決め付けるだろう。しかし、実態はそうなのだろうか。

もし仮に、ヒーローのロボなんかが踏み潰した家が、自分のものだったらどう思うだろうか。

その瞬間から、ヒーローは簡単に悪に染まってしまう。

このように、傍目から見るものと、その実態は違うことがある。

しかも、全部ではない。悪でもある場合もあるし、善であると言う場合もある。これが人助けの嫌なところだ。自分が助けたのが、ヒーローだけとは決してない。

そして、かつての彼もまた、正真正銘の悪でもあった。

《冥界の覇王》

その名が流通し始めたのは、いつの頃からであっただろうか。その名をはじめて聞いた人は誰しも思ったものだ。何だその厨二ネーム、と。

だが、そんな彼らの顔はその人物の実態を知るとすぐさま凍りついた。

PK専門の連続殺人鬼。

それがその正体であった。判っている死亡者だけでも優に百人を超し、すでに二百人に届いたのではないかと言う噂をも流布しているその現状。千人とも推察されるオレンジプレイヤーの、実に二割をも彼はその小さな手で屠ってしまったのだ。屠って、喰らってしまったのだ。

《狂人》、《鬼》、《戦律》………。様々な二つ名が献上されたが、どれもしっくり来るものがなく、結局それになったんだとか。

その由来は、《死者をも統べる王》という内訳を持つらしい。

一時期は今は懐かしきギルド【血盟騎士団】、並びに《六王》達率いるギルドらの第一級要警戒人物にマークされていたほどだ。

実際、PK連中からの誘いもひっきりなしだったらしい。その勧誘役も全て皆殺しにしたそうだが。

そこまで来ると、人々は当然のごとく、ある一つの疑問を口にすることになった。

なぜここまでするのだろう、と。

復讐、それが一番の有力な説だった。

荒れ果てていたあの世界だ。善人が悪人に殺されるという事も、当然の日常の一部として存在した。

友人でも恋人でも、PKに殺されたならばあそこまでの怒りと虐殺は理解できるものがある。

もっとも、理解できたところで共感はできそうもないが。

今になって、アスナは分かる。

彼は、喘いでいたのだ。非力な自分の力に。絶望していたの
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