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ソードアート・オンライン 〜無刀の冒険者〜
ALO編
episode4 魔法の世界の洗礼3
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 足に力を溜め、低空の跳躍。
 遮蔽物を足場にして次々に跳躍、必死に泥壁の影を視界に入れて敵の姿を探す。

 いない、いない、いない……いた!

 無数に乱立する泥壁のひとつに、隠蔽(ハイディング)の基本に忠実に壁を背にした姿。掲げた杖は先端の水晶が青色の輝きを放ち、周囲一帯を包み込む巨大な吹雪を生み出し続けている。その雪風の影響か、向こうはまだこちらに気付いてはいない。

 待つ時間は、ない。

 「おおおっ!!!」

 叫んで、壁を蹴る足に渾身の力を込める。

 弾丸のように加速する体が、女へと襲いかかる。
 気がついた女のその細い目の視線が、俺の視線と交錯して。

 「―――」

 唇が、一音節を紡ぎ。

 「ぐあっ!!?」

 鋭く突き出された杖の先端が、俺の腹部を捕えてそのまま回転、俺を地面へと叩き付け。
 同時に生じた水の蛇が、俺の四肢を拘束した。

 HPがレッドゾーンに突入した俺に、女が左手で杖を突き付ける。

 『―――貴方は、この世界では無知に過ぎる。私の杖は古代武具級(エンシェント)預言者の双玉短杖(プロフェット・ツインロッド)。両端の宝玉の色に対応する魔法の初級呪文の、「ショートカット」をそれぞれ一種類登録できる武器です。知っている人はこの装備の相手にスピード勝負を挑もうとはしません』

 女……ブロッサムは、杖を突き付けたまま、左の手首についた腕輪を右手で叩く。それが合図らしく、俺に向けてのメッセージウィンドウが表示される。まだ決闘(デュエル)中なのにその余裕は、四肢を縛る水蛇が俺の力では破れないからか。

 「くっ……」

 振り切ろうとするが、やはりそれは力だけじゃどうにもならないか。
 もがく俺の前で、なおも彼女は言葉を打ち込む。

 『登録していたのは、《アクア・バインド》と《アース・ウォール》。土属性の防御魔法が、初級のものでも打撃に強いことを知っていれば、初手で打撃を加えようとは思わなかったのでは?』

 ただただ、淡々と。

 『そんなザマで、一人旅など可能なのですか?』

 言葉を。

 『貴方を支えてくれる方がいたからこそ、貴方がいるのではないのですか? 後ろからの援護を、或いは肩を並べて戦ってくれる方が、或いは世界を超えて祈ってくれた方が、いたのではないのですか? 今の貴方は、弱い。だが、それでも貴方がこの世界を廻るのなら』

 目線を、こちらに向けたままで。

 『助けを。支えを。貴方は求めるべきです』

 そして俺は、もがくのをやめ。

 「……降参(リザイン)……」

 歯を食いしばって、呟いた。
 同時に、あるはずのない、苦い血の味が口に広がる錯覚。

 それは俺がこのVRワールド
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