十五 断崖絶壁
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
解ったかどうかわからないが、しぶしぶ口を放した破璃に、「すぐ帰るって」と自信満々に出て来た矢先に迷った。
しかしながら横島が迷うのは必然である。ナルトの手によって侵入者防止の結界が張られているこの森は外部からの侵入は不可能だが内部から出るのは容易い。屋敷から暗部任務へ赴く際楽なように、ナルトが手配したのだ。けれど多方面へ任務するナルトにとって都合の良い森はえらく複雑な造りとなっている。そのため、森のどの部分をどう抜ければ近道かを理解しているナルト以外は必ず迷ってしまう。何れは木ノ葉の里に通じる道に辿り着けるだろうが、どこに抜けるかは到底判断できないのである。
ようやく河川を見つけた横島は、その水路に沿って歩いていた。そして叩きつけるような激しい水音を耳にして、この滝に辿り着いたのだ。
(迷子とか…恥ずかしいにも程があるだろ)
はぁと溜息をついていた横島の耳に、女性のはしゃぐ声が入ってきた。見ると、滝の傍で女性三人が水着姿で水浴びをしている。
(馬鹿だな、俺。もう女好きのふりしなくていいのに)
演技の癖でつい覗きに最適な場所を探す自身に苦笑する。それでもつい滝を囲む茂みに視線を向けると、そこには既に先客がいた。
大柄な男が茂みに潜んでいる。じっと水浴びで遊ぶ女性達を見つめている事からして覗きらしい。昔の自分を彷彿させるようなその人物の動向を横島は思わず眺めていた。
そして彼の背後にいる子どもの姿を視界に映した瞬間、あっと声を上げる。
大柄な男の後ろでなにやらやっている子どもは、ナルトだった。
呼び掛けたいのをぐっと堪え、横島は崖からナルトと大柄な男を見下ろす。オレンジの派手な服装から察するに演技中なのだろう。現に大柄な男に向かって地団太を踏む様は年相応の子どもにしか見えない。
崖の上から見下ろしているにも拘らず、横島はじっと息を潜めていた。何を話しているのかさっぱりわからない。
下に降りるか、と横島が崖から降りる道を探そうとしたその時、大柄な男がナルトの腹を殴った。
(なっ!?なにやってんだ、あのおっさん!!??)
もしかしてナルトを忌み嫌っている里人かと推測した横島は、大柄な男の一挙一動を睨みつけるようにして見つめる。気絶したらしいナルトを担ぎあげた男がずんずんとどこかへ行くのを眼で追いながら、横島は駆け出した。
大柄な男はナルトを肩に担ぎあげたまま、なぜかどんどん険しい道を歩いて行く。木立が生い茂る森の奥へ進む男の背中を睨みつけながら、横島はこそこそと彼の後をつけていた。
森を抜けると急に視界が開けたので思わずパチパチと瞬きをする。男に気づかれないよう茂みに隠れた横島は目前の光景に驚愕した。
男の前方には地面がぽっかりない。切り立った崖が眼前に
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ