第5話 待って居たのはイケメン青年ですよ?
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青年と言うよりは、少年と表現した方がしっくり来るような爽やかな雰囲気。
そう。この地下の、異質な空間内に相応しくない爽やかな笑顔と共に発せられた一言。
しかし……。
「お久しぶりと言われても、アンタに出会うのは、初めてだと思うんだけど」
しかし、そう問い返す美月。
そして、それは同時に、一誠にしても。そして、紡にしても同じ感想を抱いた挨拶で有った。
但し、
「いいえ、私の方には、貴女と、そちらのお嬢さんに関してならば、お会いした記憶は有りますよ」
そう、青年は、相変わらずの笑みを浮かべたままの表情でそう答える。
そして、
「例えば、貴女。三娘さまには、一度、煮え湯を飲まされた覚えが有りますし」
美月を見つめる瞳。優しげな笑みを浮かべた瞳からは一切変わる事もなく、しかし、恨み言に等しい台詞を口にする青年。
しかし、三娘? これは、三番目の娘を意味する言葉。しかし、美月には姉はおろか、兄も、そして、弟や妹も存在してはいない。
そうして、その謎の微笑みを浮かべた青年は、疑問符に覆われた美月から、今度はハクの方に視線を移した後、
「そちらの日の巫女のお嬢さんには、一度、生命を救われ――――――」
先ほどの美月に対した時と同じ雰囲気で、今度はそう告げて来る青年。
但し、その言葉の底に流れて居るのは、感謝の意などではない。
これは……。
「でも、その前に一度。そして、その後に一度。合計、二度。貴女、日の巫女のお嬢さんに僕は殺されましたけどね」
何の気のない自然な会話。しかし……。
しかし、その青年の一言が、邪気と静寂が支配する空間内で、もっとも大きな異常が、今、一同の前に口を開けた瞬間で有った。
そう。そして、その異常な雰囲気には、嘲笑と侮蔑と言う、黒き色が着いて居たのだ。
二度殺された。……と言う事は、この目の前の青年も転生者か。紡はそう考えてから、改めて、青年を見つめ直す。
確かにこの目の前の青年が、人ならざる気を放っているのは間違いない。
「それでは、もう少しお待ち頂けるでしょうか。未だ、準備が整わない内に、ここまで到着されて仕舞いましたからね」
爽やかな笑顔と共に居並ぶ一同に対してそう告げてから、足元に存在する祠に向き直るその青年。
その姿は無防備そのモノ。しかし、敵なのか、味方なのか判らない相手だけに、手が出せないのは事実。
そう。戸惑うような雰囲気を発する相手。この青年からは明確に敵だと断じられるだけの悪意を感じる事は未だ出来ない。まして、逆方向とは言え、同じように霧の奥から突如現れたハクや美月と名乗った少女たちが、必ずしも味方とも限らない。
更に、あからさまな敵対行動を取って居ない相
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