第5話 待って居たのはイケメン青年ですよ?
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は濃すぎる。これが、禍津霊と言う連中の発する邪気と言う物なのか」
ギアスロールに署名した瞬間、移送された場所での戦闘。それだけでも、このギアスゲームの危険性が判ろうと言う物。
まして、周囲には扉らしき存在は見えない以上、本当のゲームが開催される場所は、ここより更に奥と言う事に成る。
しかし……。
先ほどまで呪力を撒き散らせながらも、其処かしこに存在していた双頭犬や、ミノタウロスの死骸が何時の間にか薄れ、そして消えて行ったこの地下洞窟内を一周分、見渡す紡。
そう。確かに、顕われた魔物を一度は倒す事が出来た。しかし、彼らの持つ怨念にも似た強い邪気が、未だ其処かしこに残って居る事を紡は感じて居る。いや、一度倒したが故に、更に強い邪気を発するようになったように感じても居るのも事実なのだ。これを、どうにかしない限り、この魔物が次々と顕われる状況を変える事が出来はしない。
それならば。
両手を広げ、大地から。そして、世界から集めた気を自らの胸の前で気を練るような仕草を行い、
「ルナファイナル」
そう短く呟かれた後に放たれる青い光の波。その青い光が周囲に放たれた瞬間、地下に広がる洞窟内に強く蟠っていた邪気が一掃される。
しかし……。
「矢張り、無理か」
しかし、直ぐに、そんな行為が焼石に水で有る事に気付かされる紡。
そう。浄化すれば浄化した分だけ、更に洞窟の奥深くから流れ来る霧に乗り、邪気が流れ来るのだ。これでは意味はない。
それならば。
「最初に奥に向かい、その扉を閉じる。それから、この洞窟を浄化する」
強い意志の元、眦を上げた紡は、闇より深い黒に彩られた洞窟の奥を瞳に映した。
其処は、瘴気が渦巻く暗黒の地。光の戦士の魂を受け継ぐ紡には、そう感じられる場所で有った。
☆★☆★☆
奥に進めば進むほど上下左右を閉ざす岩盤は狭められ、場所によっては立って歩けないほどの大きさに成る事も有る。そして、洞窟の奥の闇より流れ来る霧は、腐臭と湿気。そしてそれ以外の嫌な雰囲気を含み、美月たち、一行の周りを覆い尽くそうとして来るかのようで有った。
「この洞窟が、さっき空中からいきなり現れた契約書類に書かれた『黄泉比良坂』だって言うの?」
美月が先に立って歩くハクに対して、そう問い掛ける。
周囲は不気味な霧に覆われ、美月の声以外には、二人の草履が立てる足音と、ハクが動く度に発する鈴の音だけが響く世界。
しかし、その静寂の世界の中に微かに感じる異質な気配。
霧は濃く、少し距離を開けた先の状況さえ掴む事も出来ない空間内に感じる異様な気配は、先ほど美月たちを襲って来た魔物たちと、同種のモノだと美月にもはっきりと
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